◯ 戦後レジームからの脱却(1)〜戦後レジームとは何か
戦後レジーム、この言葉を安倍晋三氏が公約に掲げたのは、2006年の第1次政権発足時でした。これは、敗戦後の占領下でつくられた憲法を頂点とした行政機構、教育、経済、軍事、外交の仕組み全般を指します。
安倍氏の主張の根拠は、これらが日本人の手によるものではないという点にあります。1952年のサンフランシスコ平和条約発効までの占領期に、GHQの主導で導入された価値観や制度が固定化され、日本人の精神的な自立を妨げているということです。
特に、憲法9条による軍事的制約と、それに伴う対米依存を、主権国家としての不完全さと見なしました。これは、その通りなのです。
しかし、このレジームこそが、日本に未曾有の平和と高度経済成長をもたらした成功の枠組みでもあった、だからこそ、動かなかったともいえるのです。
したがって、戦後レジームからの脱却とは単なる制度改正ではなく、戦後日本が歩んできた歩みそのものをどう再定義するかという、国家のアイデンティティを問う試みだったのです。