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『華麗なる一族』2つのドラマと原作での比較(2) 原作の小説

◯『華麗なる一族』2つのドラマと原作での比較(2) 原作の小説

 

 原作は、万俵大介という銀行家の野望と、それに巻き込まれる家族の崩壊を描いた重厚な経済小説です。物語の中心は阪神銀行による大同銀行の吸収合併という小が大を食う金融戦争にあり、大介は、その実現のために家族すら駒として扱います。妻と愛人を同居させる歪な家庭構造や政略結婚など、万俵家は、一つのシステムと化しています。

 その中核にあるのが、長男・鉄平を巡る血の疑念です。大介は鉄平を自分の子ではないと疑い、追い詰めていきます。しかし鉄平の死後、血液型の検証によって彼が実子であったことが判明します。この取り返しのつかない錯誤こそが、原作の悲劇性の核心です。

 重要なのは、その後の大介の在り方です。彼は深い衝撃を受けながらも崩壊することなく、次の権力闘争へと歩みを止めません。ここには反省や贖罪ではなく、止まれない人間の業が描かれています。

 結末では、彼が成し遂げた合併すらも、さらに巨大な権力に飲み込まれる運命が示唆され、勝者であるはずの大介もまた組織の歯車に過ぎないことが明らかになります。個人の意思を超えた構造の暴力、それが原作の本質です。