fukugen(福言):出会い気づき変わるためのヒント

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アートの世界で生きていく 寂聴さん死去 源氏物語

100歳まであと6ヶ月だった瀬戸内寂聴さんが亡くなりました。東女在学中、見合いして女の子を出産。夫の教え子の4歳下の文学青年と不倫、二人を棄て京都へ。離婚後、小説家を目指し上京、『花芯』で、ポルノ小説の「子宮作家」と揶揄されますが、さらに不倫体験を描いた『夏の終り』で女流文学賞受賞。そして、埴谷雄高全身小説家と呼んだ井上光晴との恋愛関係を絶ち、出家。今東光を頼り、中尊寺天台宗で得度、法名を寂聴とします。

『寂聴 般若心経』は、ベストセラー。一遍上人の『花に問え』で谷崎潤一郎賞

この10年ほどテレビで取り上げられたところでは、「ケータイ小説」のジャンルに進出。脊椎圧迫骨折を手術で治し、胆嚢がんも完治。

原発運動でハンガーストライキに参加。死刑制度批判など、幅広く社会的活動を行っていました。

 

私は、源氏物語谷崎潤一郎訳で読み、寂聴さんのと橋本治のもパラパラと読みました。3年前にも角田光代さんが新訳を出しましたね。千年の時を超え、世界中に翻訳され続けている、この古典を今読めばどう感じるのでしょう。何年ごとかに宇治の源氏物語ミュージアムを訪れるたびに、そう思うのですが、、。

そして、般若心経。これについて私は、その後も集め続け、CD付の十数冊の読経を聴き比べたことがあります。意味は英訳で読むとわかりやすいです。昔、合宿で、つのだ☆ひろさんの第九バージョンのものを参考にしたことがあります。彼の最高傑作はこれだと思っています。この辺、いつか語りましょう。

私も、多分、彼女が到達したであろう仏教での宇宙のエネルギーと密教のエロスとを一体化する人間の無限の可能性、に憧れ、アプローチし続けていますが、未だ、この学びの遅さで、99歳まで生きたとしても、どこまで行けるやら、です。先達のエネルギーを活かしたいと改めて思うわけです。六根清浄、どっこいしょ。

 

そこまで壮絶な生き方をできない、ほとんどのまともな人のために、それでもアートの世界への導きへ。仕事人や商売人にも、私はビジネスアーティストを勧めてきましたゆえ。

アートの世界では、異常なほどの執念、執着力、覚悟のある人しか残っていきません。ただし、それらがあれば、才能がなくてもアートはつくれるともいえそうです。

もちろん、レベルや質の違いは、無限大ほどあります。しかし、一個人、自分ということを考えるなら、そういったもので諦めても仕方がありません。

アートも芸ですから、すぐに絶賛して認めてくれることでもなければ、ある程度こちらからの社会への適応性が問われるのです。大体は、無名で財力も人脈もないわけですから、底辺からお伺いをたてるわけです。

まさにアウトロー、河原乞食、アンタッチャブルな状態です。でも、そこからスタートすると、すべてが泡となり藻屑となり、うまくいかなかったとしても、何の恐れもありません。また始めたらよいのです。スタート時点が、まさしく底ですから。他人が与えてくれた地盤に乗って、舞い上がって浮き足立っていくような人たちに比べたら、安定度が違います。どん底の闇の深さを知るものは、強くしたたかなのです。

たとえ、客をもてなす、ご機嫌をとる、そして、ニーズに応えたサービスに徹する道化師を演じながら、その陰で自らのトレーニングを怠らないのです。

社会への効果、影響力も念頭におきます。そのために、セッティングと演出が、欠かせません。それを自分で行うか、有能なプロデューサーに認められて分業するか、どちらでもあり、でしょう。