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日本画

 [日本画]日本の伝統的な絵画。岩絵具や和紙、絵絹。彩色画と水墨画明治維新から第二次世界大戦。油絵は「洋画」。「唐絵」と「大和絵」。海外から流入すると、旧来のものを日本の伝統的なものと考える。日本の伝統的な絵画。日本画の名称は明治10年代、西洋画=油絵に対する語。

1876年、イタリアからアントニオ・フォンタネージを招聘、工部美術学校(~1883年)創設。 

アメリカ合衆国からアーネスト・フェノロサ(東京帝国大学で哲学)。日本画の特徴は、写実を追わない、陰影がない、鉤勒(こうろく、輪郭線)、色調が淡い、表現が簡潔。

助手の岡倉覚三(のちの天心)が、1889年に東京美術学校日本画科のみ。1898年、日本美術院へ。

 

<画材>高価、水彩が一般的。胡粉などの顔料、膠、硯、墨、絹本、和紙、刷毛、付立筆や彩色筆等の筆、陶磁器の筆洗(ひっせん)。顔料は粗製ゼラチン水溶液で練成。絵の具は、鉱物質の顔料が主で、天然の岩を砕いて粉末にした岩絵の具(群青、緑青)、金属粉末などの泥絵の具(黄土、朱、丹、金銀泥など)、水絵の具(代赭(たいしゃ)、藍、臙脂(えんじ)など)の3種。金銀箔も併用、紙または絹に描かれる。

 

<技法>まえもって礬水(どうさ)(明礬(みょうばん)を溶かした水に膠を混ぜたもの)をひき、絵の具や墨のにじみを防ぐ。技法的にも、線を引く運筆技法、色彩のぼかしの技法の修練を必要。旧来の日本画は、軸装、屏風仕立て、和額、巻物など、今日では額装。没骨法、箔、礬水引き(どうさびき)、具墨、鉄線。

 

<画壇>日本美術院、創画会、日本美術展覧会日展

広義には、大和絵(倭絵)、唐絵(からえ)、水墨画、南画、洋風画をはじめ、浮世絵などの風俗画まですべてを含む、狭義には、大和絵と唐絵の交流によって生まれた狩野派や、江戸時代以降に発展した円山派、土佐派,円山四条派,南画派など明治以降流行した大和絵風な平面的で装飾的な絵画。[大和絵平安時代に中国から伝わった唐絵は、日本の自然風土に適合した絵画表現となり、線の引き方、色の配合などに日本人の感覚を生かした繊細優美な画法で冊子や絵巻物に。

鎌倉・室町時代に大陸から伝わった水墨画は、桃山時代に障屏画に。これに大和絵の手法を取り入れて、金箔や金泥を使った濃絵の手法で、寺院や書院造のふすまを飾ったのが狩野永徳らの桃山の金碧障屏画。

大和絵は大作のほか、細密描写や風俗表現の面で本領を発揮した。江戸時代、狩野派は幕府の御用絵師、江戸中期になって円山応挙は、西洋の透視画法と日本の大和絵の装飾的な表現を融合させて新しい様式を生み、今日の京都画壇に伝えられている。

明治以後は、岡倉天心が唱えた伝統的な日本絵画の再発見と認識、横山大観らが新しい日本画を。日本美術院(天心没後再興の日本美術院)による「院展」は、「日展」と「創画会」と日本画三大勢力。今日の日本画は、材料と画家の出身によって区別。

 

日本画の基本は線 絵が発する空気感 渡辺崋山の描く肖像には独特の透明感 

[水墨画]雪舟等楊 「山水長巻」1486年 太くて武骨、温かみのある独特な線

山水画は、現実と虚構が入り混じる心象風景、現実感が希薄。

長谷川等伯 「松林図屏風」16C後半 日本の湿潤な空気 日本の空気感 余白の効果

[狩野派]狩野永徳 「唐獅子屏風」16C後半 豪華絢爛、権力を誇示する桃山の空気 

狩野探幽 「波濤群燕図」17C 「江戸狩野派」の租 

狩野山雪 「老梅図襖」1645年 都に残された山楽一門 「京狩野派」 重厚な空気感

英一蝶 「布晒舞図」1698年 軽妙洒脱な筆致で風俗、お囃子

狩野派 武士 初代・正信 それまでの御用絵師の多くは禅僧 工房化 桃山時代末期には豊臣方、徳川方、朝廷方のすべてに人員を配置 探幽 江戸時代 徳川幕府に仕える「江戸狩野」、「京狩野」。明治維新幕藩体制の崩壊で狩野派は消滅

[曽我派]曽我二直庵 「梅鷹図屏風」 曽我直庵 子の二直庵 たけだけしくシャープに武将の精神性 父の堅さ、子のしなやかさ

[土佐派]土佐光起 「石山寺縁起絵巻」1655年 優雅な古典 軽やかな色づかいで絵巻を模写、秋草、

岩佐又兵衛 「浄瑠璃物語絵巻」17C 浮世絵の先駆者、金箔使いの多さ、厚さ 緑色の美しさ 緑青 極色彩 (しもぶくれ)の顔

[琳派]俵屋宗達 「風神雷神図屏風」17C 琳派の租 扇絵や掛け軸、色絵、屏風 中国の伝来の水墨画を日本独特のものにつくり変えた 「線の世界」を「面の世界」 

寛永の三筆」 木阿弥光悦が、宗達下絵の料紙をとりわけ好んだ

尾形光琳 「燕子花図屏風」18C 琳派を受け継ぐ 美しい空間をつくるためのデザイン、意匠

[南蘋派]宋紫石「寒梅綬帯鳥図」 中国を経た西洋画法。マンネリ打破。博物学的なおもしろさ 

[文人画・南画]与謝蕪村 「鳶烏図」 江戸時代 池大雅と並び、文人画を大成 余韻とともに心に浮かんだ風景画を描くのが文人画の方法 武骨な感じ 対象を把握する力

 

谷文晁 「熊野舟行図」1804年 風景画 鮮やかでおおらかな緑の配色の美しさ 画面の構成力 寛政期に描かれた「寛政文晁」 高価な緑、青の画材 墨絵で、筆さばきに勢い

渡辺崋山 「市川米庵像」1837年 肖像画 谷文晁の影響 リアル 人間性や精神性までも映し出す 

[円山派]円山応挙 「雪松図屏風」18C 徹底して写生 輪郭線がない(付け立技法) ボリューム感 塗り残した地色で雪の白さ

長澤蘆雪 「月夜山水図」 丸山応挙の弟子 ユーモラスで奇をてらったような構図

[浮世絵]菱川師宣 「見返り美人」 浮世絵のパイオニア、 肉筆浮世絵 女性が描かれていれば「美人画」 着物

宮川長春 「遊女聞香図」 ふっくらしていて常に気品 艶

葛飾北斎 「富嶽三十六景神奈川沖浪裏」 19C前半、浮世絵の「美人画」と「役者絵」水 波

「風景画」 「円運動」 「静」と「動」の対比 構図 色づかい

歌川広重 「名所江戸百景 大はしあたけの夕立」1857年 浮世絵「風景画」 構図 ユニーク 雨の表現、雪の表現 北斎は濃厚、広重は淡泊

月岡芳年 「藤原保昌月下弄笛図」1883年 歌川国芳の弟子 錦絵新聞の開拓者

[奇想美]伊藤若冲 「老松白鶏図」~1766年 高価な画材 濃密さ、細部の描きこみ 圧倒するパワー

曽我蕭白 「美人画」18C エキセントリック 「美人画」狂女 外国の人は強い絵が好き

秋田蘭画佐竹曙山 「竹に文鳥図」18C 秋田藩の殿様 秋田蘭画 

[復古大和絵派]岡田為恭 「源氏物語図」19C 狩野派の出 優美さ、線のたおやかさ 復古大和絵

[近代日本画狩野芳崖 「悲母観音像」1888年 近世から近代 

横山大観 「蓬莱山」1949年 気力、気迫、流れる気

竹内栖鳳 「班猫」1924年 明治時代 京都 写実力の高さ

上村松園 「晩秋」1943年 「美人画」 品格の高さ

 

参考文献:Wikipedia、ブリタニカ国際大百科事典(中村溪男)、「日本絵画」安河内眞美(幻冬舎