fukugen(福言):出会い気づき変わるためのヒント

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「西城秀樹の死」

秀樹氏も秀樹さんもどうもふさわしくないので、特別にこう記させてもらうことにしました。

彼が歌が本当にうまいと気づいたのは、日本人のすぐれた歌唱を選りすぐらされたときでした。それまで、私は彼の「ブルースカイブルー」(1978年)を日本人離れした大きな曲に美しいメロディでカンツォーネのようだと絶賛していました。彼のステージでの「レイディ」(「Lady1980」 ケニーロジャースでのヒット曲)をとりあげたこともあります。今 もこの2曲を私なりに彼の「絶唱」と思っています。あまりにさりげなくて、どの曲もかなりのハイレベルで歌っているのに気づかないほどのすごさでした。

 

秀樹は、ヒデキであって、評価を抜けている歌い手です。歌で声が飛んでくるポップス歌手は、日本にはとても少ないのです。忌野清志郎のようにトータルでなく、歌唱力としての個性で、しかも尾崎紀世彦のように声フレーズとしてでなく、ロックとして日本語を動かした点で、ビジュアライズな魅力よりも、歌の声の力、感情の伝え方で味わってもらいたいと思います。

 

歌唱の力は「若き獅子たちよ」でわかるでしょう。私がリアルタイムで、好きだったのは「愛の十字架」でした。今、思うと、どれもプレスリーのように宗教や祈りにも通じていた歌のように思えます。殉教とはいえなくとも過激な生活がたたっての早逝でした。

 

ファンには申し訳ないのですが、私は60代まで生きた彼を「早かった」と、惜しみたくはないのです。世に出て最初の3年で惹き込み、7年で解き放つ、スターというのは、もうそこで成り立っているのです。(デビュー1972~「Young Man1979) 心からご冥福をお祈りします。