〇歴史
茶湯(ちゃとう)「茶の湯」
729年、聖武天皇 行茶(ひきちゃ)。中国から唐の陸羽(733年 - 804年)の書いた『茶経』。
804年、空海と最澄は中国から茶。805年、永忠。815年、嵯峨天皇「日本後期」に茶の記述。平安時代に遣唐使が茶の習慣と作法(烏龍茶 団子状 微発酵茶)。
<鎌倉時代>栄西が茶を九州 石上坊。明恵上人の栂尾(とがのお)茶→宇治茶、栄西1214年『喫茶養生記』(薬、不老長寿)を源実朝に献上、道元は禅寺の清規を基に『永平清規』、そこに「茶礼」(→建仁寺)。1223年には加藤四郎左衛門が宋で陶器の技術→尾張に藤四郎焼の窯。1267年には南浦紹(なんぼしょう)明(みょう)が中国の径山寺から日本に初めて台子(だいす)持ち帰る。→能世弥(三種極真の台子飾り)、民衆の大茶盛(→西大寺)
<室町時代>闘水→闘茶(四種十服)。中国の茶器「唐物」(「唐物数寄」)。「喫茶往来」足利義政の茶の師匠である村田珠光(茶の湯の開山「万事にたしなみ、きづかい」)一休和尚→[わび茶]東求堂に同仁斎、書院茶の湯。堺の町衆 武野紹鴎(花人、稽古と作意)、その弟子の千利休によって安土桃山時代に完成。今井宗久、津田宗及(信長→秀吉)「薬之湯御政道」1587年北野大茶之湯、利休楽長治郎の楽茶腕 吸い茶(まわし飲み)。
蒲生氏郷、細川三斎、牧村兵部、瀬田掃部、古田織部(へうげもの)、芝山監物、高山右近ら利休七哲
<江戸時代>町方の出自である三千家を中心とする千家系 家元制度。千宗旦と片桐石州。
表千家七代如心斎、裏千家八代又玄斎、武者小路家。如心斎の高弟、江戸千家初代川上不白などによって稽古方法の七事式。松平不昧。
[煎茶道]江戸時代中期に黄檗宗万福寺の元僧売茶翁(高遊外)、江戸初期の石川丈山、中期に上田秋成、後期には頼山陽 「煎(に)る茶」であった煎茶→「掩(だ)し茶」
<明治時代>裏千家十三代円能斎鉄中 「女子の教養」(跡見花蹊)鳥尾得庵、田中仙樵(後に大日本茶道学会を創設)
1906年(明治39年)、岡倉覚三(天心)がアメリカで The Book of Tea(『茶の本』)出版1929年岩波文庫。1927年、茶の湯ラジオ放送、
1947年、京都大学の久松真一「喫茶を契機として創造せられた、芸術、道徳、哲学、宗教など文化のあらゆる部面を含んだ総合文化体系である」
〇茶道の流派
<千利休以前の諸流派>
奈良流(村田珠光)、東山流(能阿弥)、堺流(武野紹鴎)、珠光流(村田珠光)、志野流(志野宗信 志野流香道の家元)
<千利休と同時期の創始による流派>
利休流、藪内流(藪内剣仲)、東藪内流(華道宣法未生流)、南坊流(南坊宗啓)、織部流(古田織部)、上田宗箇流(上田宗箇)、遠州流(小堀遠州 古田織部の門人)、小堀遠州流、大和遠州流、安楽庵流、玉川遠州流、有楽流(織田有楽)、貞置流(織田貞置)、三斎流(細川三斎)、御家流(安藤信友)、肥後古流(熊本藩) 、古市流(古市宗庵)、小堀流(小堀長斎)、萱野流(萱野甚斎)、小笠原家茶道古流、瑞穂流
<千道安の流れを汲む流派>
<千宗旦の流れを汲む流派>
宗旦流(そうたんりゅう)、三千家(千利休の後妻の連れ子である千少庵系統の家)、表千家(不審庵 宗旦の三男)、裏千家(今日庵 宗旦の四男)、武者小路千家(官休庵 宗旦の二男)
〇芸能、芸術
<音楽作品>「宇治巡り」(地歌・筝曲)、「茶音頭」(地歌・筝曲)、「宇治茶」(上方歌・端唄・うた沢)
<美術館>表千家北山会館(京都市北区) - 表千家、茶道資料館(京都市上京区) - 裏千家、湯木美術館(大阪府大阪市)、田部美術館(島根県松江市)、木村茶道美術館(新潟県柏崎市)、福井市愛宕坂茶道美術館(福井県福井市)、宇野茶道美術館(福井県越前市)、古田織部美術館(京都市北区)
<茶道の実践>茶事 「朝の茶事」、「夜咄し」、野点、大寄せ、献上茶事、口切り茶事
〇茶道のことば
芸能(生活文化)として、1.粧い(よそおい)、2.振舞い、3、しつらい(室礼)(舞台道具)、4.思い
1.作法、2.茶の湯、3.庭園、4.わび。
舞台、民俗、巷間、室内
露地(庭)、手水(ちょうず)、にじり口(結界)、炭手前(すみでまえ)、中立(なかだち)、なげいれ(花)、濃茶(茶入、仕覆、主菓子)、薄茶(棗、中次、雪吹、干菓子)
蒸して粉にする(中国→日本)
盆略点前、掛物、釜、風炉、炉縁、水指、茶杓、茶筅、茶碗、香合、扇子、懐紙、ふくさ、こぶくさ、菓子切り、茶巾、足袋、ふろしき/寄付待合、腰掛待合、飛石、関守石、つくばい、はじとみ、灯籠、水屋/迎付、席入り、にじり方、挨拶、お点前拝見
雪隠、乞食、一服、見立て、床の間、庭園、
『茶の本』審美的宗教、純粋と調和、慈悲、秩序、「衛生、経済、精神幾何学」、
団茶…古典主義…唐、抹茶…浪漫主義…宋、煎茶…自然主義…明、
「ふつうのことを深く肯定する」「和敬清寂」
「わび」=正直、慎み、深くおごらぬ(紹鷗) 無―物の世界に生命の息吹(利休)
志、もてなし、磨く、敬う、楽しむ、
茶、水(井戸水、軟水、名水)、心、姿勢、渋カテキン、苦カフェイン、うま味テアニン、殺菌、薬
「茶は養生の仙薬、延命の妙術なり」(栄西)
人間の動作が落ちついた美しいものに洗練されたり、人間が宗教的な深い慰安を与えられたりする。露地草庵の禅の確立。侘茶は、禅における宗教改革。
人間の生活の低いところから高いところまで全部含んだ新生活様式。物を持たないのを生かす「わび茶人」礼儀作法は人間生活を美わしく、慎ましくする。
作法とは美と徳との結合。無一物中(むいちもつちゅう)無尽蔵(むじんぞう)。侘びの創造性 民衆性、庶民性。
「仏法を以て修行得道する事也」(『南方録』覚書)
抹茶を服することを契機として創造せられた綜合的文化体系。1.不均斉(ふきんせい)、2.簡素、3.枯高、4.自然、5.幽玄、6.脱俗、7.静寂
「日本人の生活理想の中では、異常なまでの厳粛さ、真面目さというものが、森羅万象はただ遊戯たるにすぎざるなり、という虚構の奥に隠されている、ということである」(ヨハン・ホイジンガ『ホモ・ルーデンス』)
「私は、日本に於いて行われるより以上の清浄さと秩序を以て宴を張ることは不可能な事だと思っている」(宣教師ルイス・フロイス)
参考:「茶道の哲学」久松真一(講談社学術文庫)、「茶道の美学」田中仙翁(講談社学術文庫)、「はじめての茶の湯」(成美堂出版)、「茶の湯といけばなの歴史」熊倉功夫(放送大学叢書)、「茶道の歴史」、Wikipediaほか。