1.天地開闢
「古事記」:初めから高天原が存在し、そこに神が現れ、その働きで地上ができる。天之御中主神(あめのみなかぬしのかみ)、高御産巣日神(たかみむすひのかみ)、神産巣日神(かむむすひのかみ)の三柱の神が成り出でた。
「日本書紀」:何もない混沌から天地が分離し、その中に神が現れる。天に国常立尊(くにのとこたちのみこと)、国狭槌尊(くにのさつちのみこと)、豊斟渟尊(とよくむぬのみこと)の三神が成り出でた。
2.国生み
「古事記」:淡路島から。イザナギを信仰していた淡路島が中心。高天原は日本独自の表現で、最初から存在。
「日本書紀」:本州(豊秋津州)から。混沌とした空間から天地が生まれた。国外の神話の影響(中国、ギリシャなど)。
3.創世 「古事記」:高天原にいる天神の命令による。「日本書紀」:陰陽の作用で自発的に行われる。
4.(天上)
「古事記」:天神の世界高天原が地上世界を統べる。天照大神は高天原の主催者。
「日本書紀」:天つ国はあるが、地上とは対等的 (高天原という言葉はない)。天照大神は単なる日神。
5.(地上)葦原中国(あしはらのなかつくに)への高天原の支配
「古事記」:始原的に定まっており、統治権は保証。「日本書紀」:譲渡を迫ることにより獲得。
6.(地下)黄泉国
「古事記」:黄泉国あり、イザナミは死んで黄泉国へ行く。「日本書紀」:黄泉国なし、イザナミは死なない。
7.天孫降臨の発案
「日本書紀」:タカミムスビ(ここで初出)の発案、天照大神ではない。
8.差異
「古事記」:伝統的、縄文的、国内向、「記」は物語。天地開闢:1説 国生み:1説 神生み:1説
「日本書紀」:中国的、道教的、海外向、「紀」は歴史書。天地開闢:7説(併記) 国生み:6説(併記) 神生み:10説(併記)
○神話の型
ローランド・ディクソンが設定した進化型と創造型(ポリネシア神話で展開)
Ⅰ.進化型は「系図型」ともいわれ、最初、独化神が連続し、これが宇宙の進化の各段階を象徴する。のちに夫婦神が現れて、最後に生まれた陰陽二神より万物が誕生したという型。
Ⅱ.創造型は、最初、神々は天上の世界に住み、その下には広々とした大海が横たわっている。そこへ神が石を投げ込むと、最後には大地となり、天上の者が下り、ついで人間が現れるという型。(参考:「日本神話」Wikipedia)
○まとめ
アマテラスとタカムスヒとオオクニヌシと国家神(皇祖神)
仏教伝来538年、百済滅亡660年、白村江の戦663年、壬申の乱672年
天武天皇673年と持統天皇、古事記712年、出雲大社716年、日本書紀720年
アメノミナカヌシ、タカミムスヒ、カムムスヒ。イザナギ―イザナミ。アマテラス、ツクヨミ、スサノオ(出雲)。
国譲り オオクニヌシ、天地降臨 ニニギノミコト、人代の神武へ。
大和―出雲―熊野・伊勢に関して
神話の研究、利用とその変容、大和朝廷前・後、平安、江戸、明治、戦後
〇課題
・天照大神(あまてらすおおみかみ)の孫の邇邇芸命(ににぎのみこと)が天からから降臨し、その子孫が神武天皇という神話(「古事記」「日本書紀」)が、権威の源泉。
中国易姓革命などと違い、日本で神話での正統化が力をもちえた理由?太陽の神と(精)霊性?アマテラスが女神なのは?(←→アメノミナカヌシ、スサノオ)日本の世襲制や気質?
・伊勢神宮の神官、御師(おし)の全国行脚と観光キャンペーン(御師鈴木姓)での尊王思想(応仁の乱1467年~)。
○その他、関連データ
・「○○天皇」と「○○神」
地霊、道祖神、祠(ほこら)、鎮守の森、八百万神(やおよろずのかみ)、氏神、産土神(うぶすながみ)、国魂神(くにたまのかみ)、禍つ神(まがつかみ)もいる。
・「神道」―日本書紀に3回出ている(神木を切るな)畏れ敬う。
・祝詞(のりと)―「かけまくもかしこき…かしこみかしこみもまをす(かしこき=畏)」