◯社会人の3つの受難
日本には、不思議なことに、「社会人」と言う概念があります。入社してから、学生を社会人として鍛え直すというわけです。
学生気分を抜くために、新入社員研修があります。そこでは、敬語をマスターすることが含まれます。
日本人が人前でしゃべったりスピーチが下手だと言うのは、この社会的な言語と日常で使う言語との乖離があります。つまり、社会人になるとき、慣れていない人前で喋ることを、使い慣れていない言葉で話さなくてはならないからです。
さらに、共通語の使われない地域で育ってきた場合は、方言にならないように、つまり、なまらないようにするのも大変だったのです。
そこは、テレビの貢献で、あまり問題にならなくなりました。
また、それまでに、社会的な言語を使い慣れてきた人や、人前で話し慣れてきた人は、さほど困難を感じないでしょう。今は、授業なども、「読み書き」から「話す聞く」に重点が移ってきたため、スピーチに慣れている人も多くなりました。あがらないことは、カラオケで鍛えられた人もいるでしょう。
入社面談のために、そういうことを特訓した人も多かったのです。
◯敬語の変化
丁寧語を短くする言い方で親しみを表すの言葉があります。
「そうっすね」
「マジやばいっす」
◯映える方言
方言については、方言萌え、方言アイドル、方言コスプレといわれるように、方言がかっこよくなってきました。
テレビなどの影響で、今や「大阪出身」というと、「面白いことを言う」というイメージがで見られるので、困っているというようなこともあります。
翻訳において、ディズニーアニメが、悪役や愚かな役などに外国語訛りの英語を使い、差別をつけましたが、同じように、日本では、東北の人などに対する差別が助長されていました。
そうした差別といえば、女言葉もあげられます。
◯女言葉
女性は、女らしい話し方をするべきだと言われました。
おしとやかな女性、女らしい女性が好まれたからです。
女性もそう思って欲しいと思い、使う場合もありました。
どちらにしろ、内容よりも話し方が評価されたのです
実は、昔の女性も、女言葉など話してはいなかったのです。
女言葉は、まず翻訳で使われてきました。外国の小説や映画の翻訳です。
小説やテレビドラマ等の会話にも女言葉を使われてきたのです。
メディアでつくられ、使われて広まったものといえましょう。
「言葉遣いが悪くなった」とは、いつも新しい世代に
昔から言われてきたことでしたが、もう言われなくなりつつあります。
◯意志や本音表明の女言葉
日本においては、女言葉は、独自の主張や怒りを表現するためにも使われてきました。
漫画などには、特に目立つようです。
(あたしも最初、その文体でこのブログ書いていたのですわよ。18年前よ)
特別なときのていねい語と同じような使われ方です。
ため口や親密なことばでやりとりしてきた仲で、急にていねい語を使われたら、よそよそしいのです。親密な仲では、その仲でしか通じない言葉が産み出されます。
それがウチとソトを分け、人を分けていくわけです。
◯例外という立場
オネイ言葉はあってもオニイ言葉はありません。
男らしさが標準で、女らしさが例外と考えられてきたからです。
ですから、女言葉を話す男性の方が、男言葉を話す女性よりも目立つのです。
ゲイよりもレズビアンの方が公言しにくいのと通じます。
(オマセとオクテは、女性性を避けるセクシュアリティの用語です。)