今、流行のアニメは、
1位から『SPY×FAMILY』、『パリピ孔明』、『サマータイムレンダ』、『コタローは1人暮らし』、 『テルマエ・ロマエ ノヴァエ』。(「2022年春アニメ ランキング」中間集計結果)
『SPY×FAMILY』は、シリーズ累計発行部数が1800万部を突破したマンガを原作、
スパイアクションファミリーコメディ。
「家族を作り、敵国の要人の息子が通う名門校の懇親会に潜入する」という任務を課せられたスパイが主人公の黄昏が、作った家族は、娘のアーニャは心を読む超能力者、妻のヨルは殺し屋、お互いに正体を隠しつつ暮らしているという設定。
映画の『Mr.&Mrs.スミス』は、夫婦がお互いの正体を知らないスパイで殺し屋でしたから、その3倍の設定なんですね。
◯アニメ声の好き嫌い
女性の中には、同性のアニメっぽい声を毛嫌いする人もいます。男性は、以前より寛容になった気がします。
でも、男女ともに、そういう声には、大勢のファンがいるのです。
アニメっぽい声は、無理に誰かに命令されて出させられているものでしょうか。
アニメっぽいといいましたが、アニメには、実に多様な声が多彩に使われています。アニメっぽい声とは、イメージであり、アニメの声は、プロの声優が吹き込んでいるので、そのイメージとは、似て非なるものです。女優やタレントも、そういう声を出す人もいますが、やはり違います。発音明瞭でないとNGだからです。と、説明してきました。
声優は、現実の世界にない声まで創造したヴォイスアクターであり、さまざまな声を使い分ける仕事です。現代の日本文化を代表するものとなって、声優のレベルは総じて高くなりました。
◯自分の声?本物の声?
私も立場上は、幼く未熟な声、そのようにあえて作った声でなく、国際的にも通用するしっかりした声を使うのをお勧めしています。ビジネスで使うのであれば、当然のことです。
ところが現実は、というと、女優や歌手の中にも、そのような声を、使う人も出てきているわけです。
かつては、子どもっぽい、甘えているよう、と批判的にもみられていましたが、今は、ふつうに放映もされています。ビジネスにも入り込んでいます。どういうことでしょう。
◯テレビの影響
この10年で、タレントのしゃべり声や歌の声にも増えました。つまり、市民権を得てきたことになります。
テレビの出演者が、そういう声を使うのは、世の中で使われているからです。ドラマなら、その方がリアリティがあるからです。
そして、若い人が影響されて、しゃべるようになるのは、当然のことでしょう。どちらが先でなく相乗しているのでしょう。
他面で考えられるのは、テロップの使用です。デジタル技術の進歩で簡単にすぐに入れられるようになりました。それこそ声優の吹き替えか字幕かの世界です。
外国語だけでなく、方言も昔の言葉も、聞き取りにくい素人の出演者の言葉も、リアルのまま出したければ、テロップで片づくのです。
今の歌、テロップなしではわからないのも多いですね。つまり、明瞭な発音でなくとも、テレビの出演は、問題なくなりつつあるのです。
◯JKとロリコン
日本では、未熟なもの、ロリに魅かれる男性も多く、海外のように成熟、円熟した女性への憧れが、男女とも少ない社会です。もちろん、そうでない人も増えてきましたが、ここでは、マザコン、熟女好きなどということではありません。
JKなどは、日本発の価値観です。そういう男性の価値観が反映されてか、若いほど価値のあるとみられてきました。
ここも複雑で、子孫を残していく生命の本能まで遡ると、人類に共通した価値観ともなるでしょう。
でも欧米のように十代が天使のように美しいわけでもなく、そういう犯罪は日本は少なかったのです。
もとい、ここで難しいのは、自分本来の声の定義です。自然に使っている声、日常の声が、そのままビジネスに使えるほどに、日本人の声は磨かれていません。個人差がありますが、言葉遣いと同じく、身につけていく必要もあります。
その見本が、かつてほどの規範がないのです。ある意味、個性化で、多様化です。
アナウンサーの言葉も乱れ、「正しい日本語を」「女性らしい話し言葉を」とは言われなくなったのです。
◯求められる声
以前は、男性には大きくしっかりした声、社会で活躍する女性にも低く通る声が求められました。
私は、そうした声は出せるようにしていきながら、あえて必要があるとき以外は、そんなに使わない方がよいともアドバイスしてきました。
そうした声でのキャラを作るのは、現実社会では、諸刃の剣だからです。トップか一匹狼タイプならよいでしょう。そうでなくては、日本社会ではあまりよく思われないケースも多いからです。もちろん、キャスターなどの仕事で使うなら最適でしょう。
◯声は、二面から考える
何よりも声は受け手にとっての差が大きいからです。どんなに多くの人がその声がよいと思う声があったとしても、それを嫌だと思う人もいるのです。
逆に、自分が好きでない声でも、そういう声が心地よくて癒されると思う人もいるのです。
もちろん、自分の声にも使いやすいとか出しやすいとか、無理のない声というのはありますから、そこに基づいて、使うのが第一です。
その次の条件として、相手に合わせる。相手がそれを嫌うのであれば、そうでないような声を作って出すのも、気遣いでしょう。
この2面から考えなくては、よいコミュニケーションは成り立ちません。
◯声の影響力
しかし、いちいちそんなことを、相手に尋ねるわけにもいきませんから、大体は、あまり不自然にせずに使い、相手の声も認める方向で進めていけばよい話です。
その辺は、顔と同じで、自分だけの好みは、ビジネスでは避け、プライベートに、ということです。
プライベートでは、長く一緒にいる人となら、心地よいところまでいかなくても不快にならないことは大切でしょう。それがどのくらい声に関係するのかは、人によるでしょう。
声はTPOでも変わります。ことばでも喧嘩になりますが、声の感じや口調もまた影響力が強いものです。「声を聞くのも嫌だ」となると、関係維持は難しいでしょう。
ともかくも、こうした問題は、女性に限ったことではないのです。
とはいえ、日本の社会は、声のパワーで動かしていくところではありません。
もっとも国際社会では、声での演出力を日本における俳優並みに訓練しなくてはならないでしょう。そこは別に考えることです。