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マハティール元首相に学ぶ

日本を訪れていたマハティール元首相が、26日、NHKの単独インタビューに応じました。

マハティール氏は、96歳。来月で、97歳です。

私と誕生日が同じです。マレーシアは、彼が首相のとき、ペトロナスツインタワーのできたクアラルンプールに行きました。入国した日の夜、腹痛で、近代的な病院、しかも日本語が通じる医師に診てもらう体験をしました。

それはさておき、彼の考え方に、私たち日本人は、いろいろと学ぶところがあるように感じた次第です。

日大の理事長に林真理子氏がなる時代ですから、日本も政治やIT手腕のある外国人に、首相とまではいかなくとも、ブレーンになってもらえばとよいと思うことが多いです。

 

◯トップの風貌

わかりやすい英語で取材に応じるマハティール氏の風貌は、魅力的でした。その前にクワッドで来たインドのモディ首相もいいですね。顔で決めるのもどうかと思いますが、この人ならついていこうという人が一国の代表であって欲しいものですね。

その職について、力不足の人は、少しずつ顔が歪んでくるものです。

北朝鮮、中国、韓国、いや、アメリカやイギリス、フィリピン、トルコ、、そして、ロシア、どうでしょう。日本などは、秘書か鞄持ちくらいな感じも。大将の風貌だったのは、いつ頃まででしょう。

以下、岸田首相からは、到底、聞くことができないマハティール氏の考え方とその実績を掲げておきます。

 

外交政策

バイデン大統領が提唱し、マレーシアを含め13か国が立ち上げに向けているIPEF(アイペフ=インド太平洋経済枠組み)について

「これは中国を排除し、対抗しようとするものだ。中国に反対しアメリカに友好的な国をつくるという政治的な目的がある」

として否定的な見方を示しました。米中の対立の激化を避け、地域の安定を保つことが、東南アジア諸国の経済発展に必要だという考えです。

「経済発展には安定が必要で、対立は必要ない。アメリカは中国を締め出すことに熱心なようで、南シナ海に艦艇を送り込んでいる。いつか偶発的な事故が起きて暴力行為や戦争になるかもしれない。これはASEAN諸国の経済発展にとってよいことではない」

 

環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)についても批判的でした。

「TPPに署名すれば、外国の干渉なしでは国家としての決定ができなくなり、再び植民地化を招くようなものだ」交渉を透明化して中国を協議に加えるべきとしている。2013/8/26

「TPP11を含めて原則的に自由貿易には賛成だ」

「貧しい国と富める国との自由貿易はどうあるべきか。正しい自由貿易とは何か」2018/6/12

 

アジア的価値観を唱道し、かつてアメリカの人権外交と衝突し、石原慎太郎とは『「NO」と言えるアジア』を共著したこともあります。

1990年に後の東アジア共同体構想に繋がる東アジア経済グループ (EAEG) 構想やその発展版の東アジア経済協議体 (EAEC) 構想を打ち上げます。

常にアジア諸国の連帯をその政策の中心に置いているのです。

 

中国脅威論を否定して、南シナ海問題でも米軍の航行の自由作戦は中国を挑発してると批判し、アジアインフラ投資銀行(AIIB)に加盟しない日本に苦言 を呈しました。

首相退任後、習近平と会見した際「中国の古い友人」と歓迎されます。

しかし、首相返り咲きの総選挙に出馬した2018年からは、中国に過度に依存するナジブ・ラザク政権を「中国に親密になり過ぎて、中立性を失った」と批判、日本や韓国などとの等距離外交に復帰すべきだと表明します。ただの親中派ではないのです。

 

2019年4月には、北京での第2回一帯一路国際協力サミットフォーラムに出席、一帯一路を支持、5月にはアメリカが排除を呼びかけたファーウェイ製品は可能な限り使うと安全保障上の懸念を一蹴、12月には、米中貿易戦争の責任があるアメリカは高い代償を支払うと述べました。

 

当然、日本の外交政策には、批判的です。「アメリカの衛星国だとみなされて影響力を弱めている」「日本に学ぶことはまだあるとすれば、特に日本の失敗からだ」

熱烈な親日家からのアドバイスです。

 

◯経済政策

日本の先進的な工業技術や勤労精神などを学ぶ「ルックイースト政策」が、40年を迎えました。

「日本の技術や倫理観を学ぶことでマレーシアを発展させただけでなく、マレーシアと日本の間の相互理解を促し、対立も戦争もない、良好な関係を築くことにつながった」

 

1981年~2003年の在任期間、日本を手本に国の開発を進める「ルックイースト政策」で、マレーシアを「東南アジアの優等生」にしました。

1980年代には、三菱自動車の協力で、自動車メーカー「プロトン」設立、国民車「SAGA」生産。港湾の整備、空港や鉄道などの交通インフラを充実。

日本に留学生や研修生が派遣、これまでに2万6000人以上が日本で学びました。

1990年代のGDP国内総生産)成長率は9%台と著しく、1996年には10%。

1998年、超高層ビルペトロナスツインタワー完成。

あと、消費増税が不況を呼ぶなら、その増税は中期的には国益に反するとの発言もありました。

 

◯IT化

2020年に先進国入りするとの目標「ワワサン(マレー語で vision の意)2020」を掲げ、アジアにおけるIT先進国となるような経済政策を推進します。

首都周辺地域に最新のITインフラのマルチメディア・スーパーコリドー。ハイテク工業団地サイバージャヤと行政都市プトラジャヤ、国際空港 (KLIA)、セパン (Sepang) サーキットなど。

 

◯日本について

第二次世界大戦初期、日本軍は、マレー半島からイギリス勢力を一掃、マハティールは初めて「白人が敗北することもある」と学んだそうです。

戦後、日本を訪問し、日本の経済発展や、それを実現した日本人の勤勉さに打たれ、日本に学ぶべきとの思いを抱くようになります。息子や娘を日本の大学に留学させたり、日本に関する著書も出している大の親日家です。

 

日中関係について「中国は、日本に対して常に戦争への謝罪を求めるのは非現実的です。重要なのは、中国と良好な外交関係、良好な貿易関係を築くことです。それは日本にとって非常に良いことだと思います」2011/11

 

1961年に初めて日本を訪れて以降、たびたび来日し、2018年の再任後も初めての外国の訪問先として日本を選び、安倍総理大臣と会談しました。この年の秋の叙勲で、桐花大綬章を受章しています。

 

2018年のNHKのインタビューでは「第2次世界大戦の敗戦で、日本は破壊されたが、茶わん1杯のごはんとしょうゆしか手に入らないような貧しい暮らしの中、急速な復興を実現してきた」「日本には、技術革新の能力や高い生産性など学ぶべきところが今もある」



♯マハティール・ビン・モハマド

マレーシアの政治家、医師。

首相(第4代:1981年 - 2003年、第7代:2018年 - 2020年)、暫定首相(2020年2月24日 - 3月1日)などを歴任。

2018年5月9日、マレーシア独立以来初の政権交代が実現、マハティールは15年ぶりに首相へ就任した。民主的な選挙で選ばれたリーダーとしては、世界最高齢92歳。

(Wikipedia抜粋)