◯プーチンの声分析って
日経新聞の3月31日版トップに、プーチン氏の声での心理分析がカラーグラフとともに掲載されていました。「プーチン氏侵攻で『緊張』ストレス、平時の4割増」と大タイトル。
音声分析は、心理的なストレスや緊張が喉にある声帯の動きを妨げ、声を震えたり掠れたりする現象から、周波数をAIで気分との関係をもとに心理状態を探る。他にも皮膚の表面温度や瞳孔など、心理状態を推測する手段になり得る。そのような解説付きで、リスク計測テクノロジーズのデータなどを使って、サイエンスエディター3名の連名で載せられています。
日本の政治家などと違って、独裁者は、一流の俳優並みの演技力を持っています。(もちろん、老化や病気などによって、素人並みになってしまうこともあるかもしれませんが。)
スピーチをしたときだけの声を、主な出来事と直結させて、関連づけるのは、あまりに安易です。雑誌や研究論文ならともかく、新聞の一面に載せるのは、驚きです。
ロシアのウクライナ侵攻があまりうまくいっていない、そのことでプーチンが焦っている、ストレスでピリピリしているだろうという西側諸国の希望する結論が先にあって、それに都合のよいようにデータが取れたから載せているのでしょう。
彼に限らず、こうした事態で笑顔で話す人はいないし、むしろ、発言にあたり、相当に緊張した表情を作って、引き締めなければならない立場でしょう。
なのに、こういうデータを示して、科学的にそうなんだと思わせ、まるで24時間そうなんだ、追い詰められていると思わせたいのでしょうか。
たとえば、バイデン大統領やゼレンスキー大統領のも並べてみればいいのです。
正直にストレスと相関するデータが得られるとしたら、岸田総理くらいではないかと思います。
よくあることなので、私も慣れっこですが、日本経済新聞がなぁ、と思いました。
一般的には有効と思えるような、声や生理的反応からの年齢や緊張などの推定というのは、一流の役者などには、必ずしも当てはまらないのです。むしろ、操られてしまうだけです。大国の独裁者を自分の尺度で測るものではないということです。
ブルース・ウィリスが、失語症で俳優引退を発表しました。家族が連名で発表したので、本人の状態があまりよくないと思われます。
失語症と言うのは、脳の言語障害です。言葉が出てこなくなったり、理解できなくなったり、文字を読んだり書いたりするのに不自由が生じます。役者であれば、致命的ともいえます。
彼は、「ダイハード」「アルマゲドン」「シックスセンス」など数多くのヒット映画に主演をしました。私が好きだったのは、「パルプフィクション」です。
◯内と外
日本人は、内と外との使い分けがあるので、なかなかフランクに本音で語り合えません。気心が通じ合うまで時間がかかるのです。表現が曖昧なため、本音のところがなかなかわかりにくく、しらふの状態では、議論が成り立たないのです。酔っても、うるさいだけで成り立ちませんが、本音は出やすくなります。
で、どうしても飲みニケーションが必要になります。
日本人は会って話したがります。テレコミニュケーション、メールや電話も、実のところ、苦手です。
それは本音と建前との微妙なところ、わかってほしいからでしょう。ある意味、甘えですが。
海外の人たちには、こうした複雑な感情は、そう簡単に伝わることではありません。
◯日本人の当たり前
海外の旅行客などにも、日本人は、親切、マナーもよく、信用があり評価が高いです。
私たちにとって当たり前のことも、世界の人々にとって、まだまだ当たり前でありません。
羨まれるような行動になっていることも、たくさんあるのです。
なにより、今の日本人は、清潔好きです。
これは、日本の風土からもくるものですが、やや行き過ぎのところもあります。敏感すぎて免疫力を失い、海外に行きにくくなるどころか、日本でも非常事態になったときに、耐えきれないのでは、と心配なほどです。
でも、だから、街や公衆トイレもきれいに保たれているのです。
遊びについても、なかなか興味深いものです。
江戸時代の出会い茶屋に始まり、戦後の連れ込み宿、現在のラブホと、日本全国に3万軒、今もあるわけです。今は、ブティックホテルとかファッションホテルというのでしょうか。これも海外からの旅行客に人気だったそうです。
そうした遊び心も、世界に自慢できるものと思います。