日大の理事会では、22人で構成される理事で、林真理子さん含め、女性理事が9人就任しました。今後の改革を期待したく存じます。7/1
◯日本人の声と社会
コロナ禍などの生活のなかでは、呼吸が浅くなり、声を使わなくなってきています。
その結果、声が高くなっているというよりは、小さく細く弱くなっているのでしょう。感覚的には、声が細いと高くも聞こえます。それは女性に限ったことではありません。
(いくら日本人でも、時代を経るごとに、どんどん声を高くできるわけではありません。)
ストレスで声帯や喉頭まわりの筋肉が緊張すること、喉頭が上がることや舌の緊張などと関連しますが、声帯が緊張したり、喉頭が上がれば、声は高く響きにくくなりやすいのです。が、それよりは、声を使わなくなったせいで生理的機能が劣化した影響の方が大きいでしょう。
マスク生活では、表情筋も抑えられ、滑舌も悪くなります。当然、舌の働きや唾液の分泌も。
コロナ禍前にも、口をぽけっとあけている人がいましたが、ドライマウスになりかねません。声帯と喉まわりががきちんと働かないと、嚥下作用だけでなく、踏ん張ったり、筋力を使うことにも影響します。つまずきやすくもなり、危険です。
◯声は履歴書、変幻自在に出せる
声は、生まれたときから、その人が身体に持っていて、それを教育や環境の中で使ってきたものです。楽器などのツールと違い、そういうなかで使い方が定まってきています。
ですから、高い声にするのはよくないとか、いう問題ではないのです。
声は、その気になれば、かなりの程度、使い分けることができます。高くも低くも使えるのです。ただ、それは意識しなければ何ともなりません。
でも、意識しなくても問題がないから、日本人は、あまり意識しないのです。
相手によって、しぜんに使い分けています。高低、強弱、音色、メリハリなど、相手との関係において、声を決めているのです。そこはキャラと同じです。
◯声の敬語
ですから、電話で、相手が子供から先生に代わると、母親の声のピッチは瞬時に高くなるでしょう。男性でも、同じ傾向があります。私は、それを声の敬語と言っています。
敬意を表す相手には、声を高くていねいに、威厳を利かしたい相手には低く太く使うのです。上司やお偉いさん、初めての人に対しても、それがみえないマナーであり、戦略です。
相手により、あまり変えすぎると、まわりのひんしゅくを買います。あざといとみられるのですね。
とはいえ、総じて、日本人は声を、海外の人ほど、ポジティブに魅力として使ってきませんでした。語らず察するのをよしとしてきたからです。
◯聞く方も個人差大
臭いと同じく、声は、音なので古い脳に入ります。
理屈でなく、その人の生い立ちなどによって、特定の声に嫌悪感を抱く人もいます。いじめられた相手の声をトラウマにしてしまうこともあります。
つまり、声は、単体で、よしあしを分けられるほど単純なものではないのです。
聞く方にも、大きな個人差があります。声について、敏感な人もいれば鈍感な人もいます。
日本人は、あまり敏感ではない方です。なんとなく無意識に対応していて、それで済んできたから、そのようになっているのです。
その点では、日本という国の文化風土や、コミュニケーションのとり方、日本語の特質と密接に結びついているといえましょう。