fukugen(福言):出会い気づき変わるためのヒント

「モチベートがかからない」とか「やる気がでない」という質問をよく受けます。私は、人との出会いや映画、音楽、本などに救われてきました。なかでも、人のことばは、大きな意味をもちました。これからは、そういうことを思い返しながら、生きていくのに基礎となった一般教養や歴史、データなどのピースを散りばめていきます。ご興味があれば、そこからググってください。あなたがこの社会と結びつき、生きていくエネルギーとなるのに、少しでもお役立ちできたらうれしいです。[2021/08]

報道ジャーナリストと映画「MINAMATAーミナマタ」

ノーベル平和賞で、ジャーナリスト2名が選ばれました。これは報道の自由が脅かされていることの裏返しです。権力の乱用から戦争の危機にまで関わります。

 

ジャーナリスト保護委員会によると、昨年末で投獄されているジャーナリストは世界全体で274人で最多、国境なき記者団のデータでは、今年28名は殺害、460人が投獄です。

 

日本は、報道の自由度ランキングでは67位で、G7の中では最下位です。あいかわらずの記者クラブ、どさくさでの特定機密保護法、ジャーナリスト精神とは無縁となりゆく記者たち。

このランキングの上位3つは北欧です。フランス34位、韓国42位、アメリカ44位です。受賞者2名の国のフィリピンは138位、ロシアが150位、その下に、サウジアラビア、イラン、中国、北朝鮮などが続きます。

フィリピンの受賞者のマリア・レッサ氏は「事実のない世界と言うのは真実と信用のない世界です。私たちは事実を追い求める闘いを続けていきます」と述べました。



映画館で「MINAMATAーミナマタ」を観ました。観客が思ったほど多くなく、年配の人ばかりでした。日本人こそ見るべき映画だし、若い人ほどを見なくてはならないものです。ドキュメンタリーほど重くはなく、よくできた作品ですから、ぜひ。

映画は、アメリカの報道写真家、ユージン・スミスが、1971年から3年間、妻アイリーンさんと水俣市に住み、患者や家族、チッソへの抗議運動を世界に伝えた実話に基づきます。彼は第2次世界大戦でサイパンや沖縄などを取材しました。 沖縄戦で全身負傷しました。

1975年、写真集「MINAMATA」を出版。(今年9月復刊)その冒頭には

ー過去の誤りをもって未来に絶望しない人々に捧げるー。

 

かつて、この写真集を手にとったと記憶しています。マン・レイロバート・キャパ沢田教一土門拳など、時間を忘れて見入ったなかでの、水俣でした。1980年日本語版が出たのが、ちょうど青山ブックセンターが六本木にできたときでしたので。

 

映画のエンドロールでは、私がカウントしたところ世界での22の環境問題、公害が紹介されています。東日本大震災原発被害も入っていました。そして、当の水俣さえ、問題はまだ解決していないのです。今、なぜ水俣であり、それがアメリカ(現場はセルビアモンテネグロとか)で撮られ、日本で観て、教えられなくてはならないのかと言うことです。

 

作品は、アメリカの映画らしく仕上がっています。どんなものであれ、まずは入り口、アクセスができることが大切です。そうでないと忘れられてしまいかねないからです。そこから関心を持って、ドキュメンタリーの映画や番組、書物などで深めていくとよいと思います。(日本の4大公害についても調べましょう。)

石牟礼道子の小説「苦海浄土」は、水俣病を患った人と家族の苦しみを描いたもの。

ドキュメンタリー映画としては、「水俣 患者さんとその世界」1971 完全版。1973。

水俣一揆一生を問う人々」1973など。

そして、原一男監督の「水俣曼荼羅」が、今秋公開、なんと372分。

 

10月3日NHKで「目撃!にっぽん 終わらないMINAMATA」が放映。

主演のジョニー・デップ水俣病のことを学べば学ぶほど、伝えるべき出来事だと分かり、自分たちにその責任があると感じた。映画をきっかけに、この問題が語り継がれることが大事だと思う」「世界中で人が使い捨てにされ、命が軽んじられていて、こうした不正義が何世代にもわたって続いていくことが問題だ。まず映画を見ることから始めて、さらに自分の目と耳でさまざまな問題を学んでいってほしい」

アンドリュー・レヴィタス監督「世界中で水俣病と同じようなことが起きていて、いまも誰かが被害を受けていると気づいてほしい。私は関係ないと目を背けることは簡単だが、被害を受ける“誰か”が、自分や、愛する人だったかもしれないと伝えたかった」「誰もが平等に生きる権利があり、みなで手を携えれば状況を変える力があると、映画を通して勇気を与えたいと思った」

当時アシスタントを務めていた写真家、石川武志さんは、ユージンが「写真で病気は直せないが、メッセージを出すことで、誰かが動いてくれる」と話していたと。

石川さんの写真展「MINAMATAーユージンスミスへのオマージュ」新宿リコーイメージングスクエア東京で10月25日まで。

 

水俣病は、5月で公式確認から65年、全面的な解決が見通せない状況。これまでに水俣病と認定された患者は、7月末で、2999人。対象になった人は、5万人。1500人が患者の認定の審査結果を待ちです。裁判でも、1800人が国やチッソなどに損害賠償などを求めています。被害の全容もいまだ明らかになっていません。12年前に成立した被害者救済の特別措置法では、国が水俣湾周辺の住民の健康調査を決定。環境省は、検査方法を来年秋、確立させると、患者団体などは早期実施を繰り返し求めています。

 

映画と関係する事実関係

1971年12月 智子の入浴撮影

1972年1月7日 暴行事件、チッソ社員による

1973年3月20日 熊本地裁判決

1978年10月15日 ユージン・スミス死去、享年59歳

現在、アイリーンさん71歳。31歳違いで日本で1971年8月結婚、4年後離婚。