◯マスク生活の影響
考えてみると2年半マスクをしているということは、子供たちにとっては、とても長い期間です。中学生や高校生なら、その学校で通っている間に、まともに友人の顔を見ないまま、卒業ということもあるわけです。給食でも黙食では、向かい合って、ろくろく顔も見合わせていないでしょう。
そういうなかで、マスクは、おしゃれとしてファッション化するとか自己アピールのツールになるとも言われていました。
しかし、実のところ、アバターツールのようになっているようです。昨日の日経新聞では、「匿名から、匿顔としてのマスク」として、匿名コラムに載っていました。
つまり、化粧、いや、厚化粧、いやいや、仮面のような役割になっています。
マスクしたままでのコミュニケーションをとってきた間柄では、今さら、素顔を出せなくなっているのです。「マスクをとって、がっかりされたら嫌だ」などと、なんとも解せない悩みが深刻化しているとか、わからなくもありません。
日本って、匿名社会ですから。
◯マスクの利点
確かに、顔の下半分、マスクで隠すことで、楽になることは少なくありません。
私の体験でも、マスクをすると顔を見られないので、気楽です。外出先で不意に声をかけられたり、離れたところから私を知っているというような顔をしている人に、出会うこともありません。以前は、都内や出張先の書店や喫茶店、居酒屋では、誰かに出会う気がしてリラックスできないこともありました。新幹線やホテルでもバッタリということがありましたからね。
関係者とすれ違っても気づかれにくいのは、ありがたいことです。気づかないふりもしやすいし。
反面、会合やパーティでは不便極まりないわけです。でも、その機会はほとんどなりました。zoomではマスクしません。
マスクをすると、ていねいにお化粧しなくてもいいので楽だという女性もいます。男性でもヒゲを剃らなくてもよいかもしれません。ボケっとした表情を見られることもありません。
「相手にいら立ちを覚えても、顔が隠れるから助かる」という人もいます。店員や中間管理職に限らず、そういうことも多いでしょう。
これは、マスクによるバリアーです。大袈裟にいうと、プライベートな空間をどこでも保持することができるのです。
それに甘えすぎては、絶対によくないです。
◯マスクのデメリット
私も最初は、よくマスクをつけ忘れて戻ったりしましたが、さすがに慣習となると身に付くもので、そのうち当たり前のようにマスク必携となりました。
ただ、呼吸が浅くなるのと、顔が自由に動かないことに、心身が解放されずに限定されているような違和感を感じ続けています。この感覚を失うことや慣れることには気をつけています。
ですから、人がいないところでマスクをすることは、ありません。
◯トレーニングのお勧め
人の顔で、もっとも動かしやすく豊かに表情をつくるのは、口のまわりの口輪筋です。舌も唇も顎も動かさないとその筋肉が衰えます。声も出さないと声帯も、食物の嚥下に関わる喉の筋力、呼吸に関する筋力まで衰えてしまいます。
マスク生活で顔の筋肉を動かさない生活が続いたことで、その筋肉がたるみ老け込むのは当たり前です。
マスクで隠れるからと、表情筋を動かさないでいると、顔の筋肉が固まってしまうのです。
いつしか、ぎこちない笑顔になっていないか、鏡でチェックしてみましょう。
マスクのバリアーに慣れてしまうと、人に伝えるときの表情の柔軟なアピール力を失いかねません。目元やまゆ、まつ毛に凝って、目力をつけてきた人もいるでしょうが、その生活から、早く転換してください。バランスがおかしくなっているはずなので、顔の下半分を鍛え直すのです。
口輪筋を鍛えることで、柔らかい表情や魅力的な笑顔ができるようになります。
ぜひ、フェイストレーニングと発声や滑舌のトレーニングをしましょう。
カラオケと健康に関する取材がきたので、この辺りのこと、お医者さんとの特集記事で来週8日発売の「週刊現代」に載ります。追って、伝えますね。