◯学びとは何か
勉強するときに、人は持っている知識を使います。それをスキーマ#といいます。誰もが自分の考えと一致する現象は受け入れ、そうでないものは無視するものです。それを確証バイアスといいます。スキーマが誤った思い込みであったら、それを捨てて、新しいのを受け入れなくてはならないのです。
◯熟達度の違い
公式を知っていることと公式を使って問題を解けることと、さらに新しい公式を発見することは違います。知識、知恵、直感で置き換えてみるとよいでしょう。こうした大きな変革の時代、何が重視されるのでしょうか。
寺小屋では、古典の音読が重視されていました。「百読おのずからその意を解す」といいます。そのときにはわからないままに何度も読み続けていくのです。いつかわかるとも思わず、その意味も問うこともしません。とにかく繰り返しているうちに、なんとなく意味が馴染んでくるのです。その材料から、何を汲み取れるのか、学びようは、人それぞれなのです。
芸事、音楽などの勉強もそれに似ています。意図的に、奥深いところに、材料を入れておくのです。古い脳に近いほど、直感の助けになると思います。
その頃、日本では、本当に、人物が育ったのです。世界的視野を持ち、今よりも将来を見通す人たちが。
教育論、明日に続けます。
◯概念変化
スキーマもまた思い込みのなせる技です。思い込みによってスキーマが間違っていることがあります。そのときには、土台から組み直さないと、正しい方向のシステムを作れないのです。パラダイムの変更です。これを認知科学では、概念変化と呼んでいます。
将棋では、対局の後に必ず感想戦で対局を振り返ります。これが批判的思考となります。すべての手を吟味して、もっと良い手がなかったのかをフィードバックするのです。決してやりっぱなしにしません。
自分の言行を自分でモニターして、過ちを見つけ、修正していきます。そこで先入観や思い込みを排除して、事実を確認、現状、現場を観察し、ヴァージョンアップするのです。
記憶や判断が、できるだけスキーマで歪まないようにすること、それを意識的にフィードバックして、よりよくコントロールするのです。つまり熟慮による修正作業の積み重ねが重要なのです。
#スキーマ <Schema 心理学用語で、ある対象や出来事に関して、まとまって記憶されている情報や知識ということを意味する(広告用語辞典)>