◯映画「異人たち」
日本で公開のイギリス映画『異人たち』、
NHK朝のニュースでも取り上げられていましたね。4/20
<ロンドンで孤独に暮らす中年男性と“異人”たちとの交流、
日本を含む世界47か国で公開。
原作は、山田太一さんが、37年前に書いた小説『異人たちとの夏』#。
山田さんは、発表した翌年、NHKの番組で語っている。
「現在のドラマを書こうと思ってテレビの世界に入りました。過去を書くまい、未来を書くまい。現在をしつこく書いていこうと思ってやっていたが、やっぱり人間は大半は過去の産物ですよね。やっぱり過去というのは無視できないと思うんですね」
主人公は、テレビドラマの脚本家で、年齢も同年代。故郷も同じ浅草。小説では、12歳の時に両親を交通事故で失ったという設定、山田さんも10歳で母親を亡くしている。
今回、映画化したのは、イギリス人のアンドリュー・ヘイさん。
『WEEKEND ウィークエンド』や『荒野にて』といった作品の映画監督。
「小説は山田さんの個人的な旅のように感じられ、私の心に響きました。この映画は、現在にとらわれて、前に進みたいのに進めない人の話です。そして、前に進むことができる唯一の方法は、自分がどこから来たのか、かつてどのように感じていたのか、見つめていくことなのです」
ヘイ監督は、主人公のアダムを同性愛者に脚色。
「作家の個人的な作品を、自分に置き換えて作り直すことが魅力的に映ったのです。私はゲイです。だから、ゲイの恋愛を描くことは必然でした。そして、そのロマンチックな関係は、私自身の経験に通じるものにしたかったのです」
変更は、山田さんにも伝えられ、亡くなる直前の去年11月初旬に映画の完成を見届けていた。
映画監督・アンドリュー・ヘイさん
「私たちみな、同じことを求めています。理解され、愛され、癒やされたいのです。山田さんはうまく表現していて、共感しました。この世界では、互いの違いばかりに目を向けていますが、根底にある同じ部分を理解することが大切なのです。だからこそ、私は映画を作るのです」
長男・拓郎さん
「両親との関係は、子供の頃は大切に思えなかったけれど、大きくなったら、結構インパクトがあります。会えなくなって初めて気付いたりします。そういう父と母と自分との関係みたいなものは、みんなそれぞれ絶対あるものです。だからこそ、自分だったらどうなるんだろうと想像をかき立てられます。ヘイ監督は自分なりの答えとエンディングを持ってきているのがよかったです」NHK news web編纂 4/19映画>
#『異人たちとの夏』<日本では、1988年大林宜彦監督が映画化。
「小説新潮」1987年1月号に発表され、同年12月に新潮社より上梓。
山本周五郎賞の第1回(1988年)受賞作品。(Wikipedia)>