fukugen(福言):出会い気づき変わるためのヒント

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主体的な学びの回復を

子供の日です。

子供の頃は、活動的、いえ、無駄にエネルギー、動きや大声、発散していたものですね。

時折、今も、そういう子供たちを目にすると、なつかしく思い出します。

そうでなくなっていく子供たちをみて、将来を案じて、久しくなります。もう成人した人もいるのでしょうが。

歳をとるにつれて、効率化、省エネ化していく自分とその生活、それを打ち破る必要を感じては、動いてきたように思います。なんか、不自然、不器用、でも、そうした努力も必要なんだ、と。

主体性を取り戻す、大人などに抑えられず、自由になったからこそ、自らの手でつかみなおすのですね、人間は、それぞれに。

 

◯学びの主体性

学ぶというのは、教わったり調べたりしたことをただ覚えるのではありません。

認知科学の視点では、それを人の心の働きとそのメカニズムから理解します。人がどのように考えて問題を解決し学ぶのかということです。

 

◯言語習得のプロセス

すでに胎内で私たち人間は、母親の発する言葉のリズムや強弱を聞いています。生まれてから、人の声を単語に区切ることから始めます。その上で、共通するもの、異質なものを分けていきます。母語の音素を発見するのです。その分け方で、他の言語との違いが出てきます。

言語の音素が日本語だけで区分けされているなら、日本人には聞こえ、外国人には聞こえないのです。逆の例では、日本人には、rlは、同じラにしか聞こえません。

生まれてから1年くらいのうちに、母語で使われない音素を識別しなくなります。必要ないからスルーするのです。無駄なことに注意を払わなくなるのです。

区別をする一方で、必要のないことを淘汰していくわけです。絶対音感などもそこで言語と連結しないと失われていきます。

子供は、最初は、思い込みで、言葉の意味を決めていくのです。初めて見るものに、初めて聞く言葉があれば、結びつけていきます。でも、間違って発しては、まわりに直され修正していきます。発しなくては学べません。

もっと複雑な品詞、たとえば助詞「てにをは」の使い方でさえ、日常会話の中で見聞きして、使っては修正することを繰り返して、正しく身につけていくのです。

 

それは、頭で知っているだけの知識と違い、身体で覚えた知識、使える知識となるのです。学校で学ぶ英語との違いです。

こうしたプロセスを知り、できるだけ活かしていくとよいと思います。

 

◯主体的に学べるようにする

つまり、人は自ら学ぶ力を持っているということです。

母語を習得するプロセスでもわかるように、耳に入ってくる言葉の意味を自分なりに推測して、言葉で文を組み立てるルールを見つけていきます。

自分で問題を発見し、考え、解決策まで自分で見つける経験を積んでいくのです。このときには、主体的な学びがなされているのです。

もちろん、全てが順調に進むわけではありません。しかし、そういうときに、なぜつまずくか、そうでないようにどうすればよいのかを知っていくのです。

こうした力が、その後の教育で失われていくのではないでしょうか。

 

でも、それは元々、備わっていた力なので、取り戻せばよいのです。参考書やタブレットばかりに頼らず、外に出て、いろんなものを見て、いろんな人に会い、話をしたらよいのです。なんでも首を突っ込み、体験していき、自ら言い出しっぺとなり、動いていくのです。間違えては改良していくのです。

それは、ある意味で、プロデュース的な仕事や学び方であり、プロジェクト型の思考法といえます。これからに時代にもっとも必要な力です。

 

◯映画「夢みる小学校」♯

日本では、遅れている、こうしたプロジェクト型の授業、それは、いろんなことに取り組んでいく多様性に特徴があります。学力テストの基準に基づく偏差値などでは全く評価できないものです。しかし、世界の先端での教育は、すでに、こうしたプロジェクト型の学習が中心です。

最近、公開された映画「夢みる小学校」は、全国で5つの小学校を運営している、きのくに子どもの村学園の取り組みが示されています。小麦の栽培から麺づくり、自分たちの遊び場づくり、演劇の上映などをしています。

これも学校教育法に準じた正規の学校です。今の制度の中でも、こうしたプロジェクト型の学習ができるのです。そういう人さえいたら。

これこそが、これからの時代に必要なコミニケーションや創造性の能力の学び方と言えましょう。

 

<♯映画「夢みる小学校」

学びの本質とこれからの教育のあり方を改めて問い直していくドキュメンタリー。宿題もテストもなく、子どもたちの個性を尊重し、本格的な体験学習を軸に子どもたちの主体的な学びを実践していく「きのくに子どもの村学園」。通知表のない伊那小学校や、校則や定期テストをやめた世田谷区立桜丘中学校など、公立学校の取り組みも紹介する。監督、撮影: 太田敏  製作: Mahoroba Studio  プロデューサー: 太田敏  キャスト: 吉岡秀隆    (Google)>