◯二元論
理性と本能、心と身体、遺伝と環境など、二元論♯については、長らく、いつも考えてきました。いや、二項対立ということです。才能と努力、先天性と後天性、本能と学習、天才と秀才、、、。
自分のこともですが、何よりも接する人の能力を伸ばす上で、才能と環境は、欠かざる要素となるからです。
◯心と身体
心とは、脳神経系の働きであり、その研究は、神経生理学、神経科学、認知科学などに発展していきました。脳は、身体全体の刺激情報から反応して新たな刺激を出します。そこで、体と心は一体だということです。心身症などは、その症状例です。
◯遺伝と環境
どんなことでも遺伝子と関係のないものはありません。教育や文化で変えられるものもありますが、変えられないものもあります。しかし、一方で、遺伝子の発現には、環境からの刺激が大きな役割を果たします。遺伝子だけが全てを決めるのでなく、環境の作用がなくて、なんともなりません。その結果が、今の自分なのです。
組み合わせである遺伝子型が、個体の性質の表現型になるのに、環境がどう影響するかということでは問うことはできるのですが、遺伝と環境は分けられないということです。
◯政治や思想との関係
遺伝的に運命が決まっていると、現状肯定維持となります。そう考えたいのは、今、すでに優位な人たち、既得権を守りたい人になります。
反対に、現状に不満で、今の状況を変えたい人が、社会や教育で変えられると考えるのです。
ということで、遺伝を重視するのは、右派の保守、環境を重視するのは、左派の革新となり、政治や思想に結びつくのです。
◯本能と学習
今の生物学では、本能という言葉は、使ってはいけないのです。
これは、もう30年ほど前、私の先生が教えてくれましたが、そのときはよくわかりませんでした。皆が使うので、何となく、私も使ってしまうのですが、学問として使ってはいけない、その理由は、次のようなことです。
生物において、固定的にしておいた方がよい行動は、そうなっていますが、そうでない行動は経験によって変化し得るからです。ここでも二元論の否定となります。
♯デカルトの二元論は、この世界を、心と物質に分けます。魂と身体と考えてもよいでしょう。現象と本質の区別も二元論です。