ここまで引っ張ってきて、言いたいことがいくつかあります。一つは、若い人に、といっても、40代以下の人にです。“空気”に水を差せる立場を得た人や、本音でものを言える人に憧れたり、それを目標にするのはよいのですが、自分もそうだと勘違いしないということです。
私は、アーティストの自伝を読むことをおすすめしてきました。先日、「ホリエモンの本を読んで会社をやめた」という人に会いました。そういう人がけっこういるとは聞いていましたが、その人の計画性のなさに、ショックを受けました。
他人の勇気づけのことばで自己肯定して、そのままポジティブ思考になって思い切った行動をしたのでしょう。そればかりか、同じようなことを発信してしまうようになるのです。どうも、SNSで、安易にその環境が与えられてしまうためのようです。とても狭い同じような人たちだけのなかに埋没しているのに気づかないのです。ホリエモンでもないのに、ホリエモンの「ものの見方」になって、自分の考えと思ってしまうようなことです。