◯身体文化あっての人間
日本の社会では、将来に不安を感じる人が多くなりつつあります。
仕事や生活から人間関係のストレス、うつや不定愁訴、体調不良まで、
もはや、誰もが関心を持ち、自分の心身を守ろうとしています。
これらの動きをまとめますと、
何かしら身体に確かなものを求めているのではないかと思います。
天よりの賜物である私たちの人間の能力は、本来、相当にタフで高度なものです。
なかでも基本は、自分の身体で、歩くことと食べることです。
二足歩行と言語の獲得、食べる機能を応用して、
私たちは、ことばをのせられる声を手にしたのです。
呼吸をして飲食するという生きるための役割としてあった喉が、
ことばを司るために発展したことには、考えさせられます。
その代償として、誤嚥という生命に危機をもたらす嚥下の形態を変えてまでも、
発声、発音、ことばというコミュニケーション機能を優先してしまったからです。
そのことに驚かざるをえないのです。
まさに、人はパンのみで生きるにあらず、です。