fukugen(福言):出会い気づき変わるためのヒント

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ことばの虚無化と声からの身体性の復活(3)

◯空虚化することば

 

ことばの虚無化を生成AIの文章を引用して示した作品が、今回、芥川賞を獲りました。

九段理江さんの「東京都同情塔」です。

それは、生理的に拒否したいネーミング、「トウキョウシンパシータワー」という罪人に寛容な刑務所をめぐっての話です。

 

 この作品を読んでいて退屈なところは、生成AIのつくりだす文章の引用部分です。これがそういう実験的試みだから、そこを読むに耐えない私は、まんまとその策略に引っかかっているのでしょう。

 

いや、そこで、そういった空虚な文章をそう感じるのが、人間の感性であるから、よいのです。しかし、そのはずなのに、もはや、そんなことはなく、読める人の方が多いのではないかと思います。

つまり、与えられたものを、何も考えず、慣らされていっているのです。

 

今や、もっと空虚な短いつぶやきを読み取る作業に、日々、私たちは従事させられています。いや、自ら望んで、それに自分の人生を費やしているわけです。

 

その分、こうした小説や思想、歴史書などの長い文章をしっかりと読解して、自分の血肉にする機会、時間が減り続けている、これは恐るべきことかもしれません。

 

 

fukugen.hateblo.jp

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