◯アメリカの傭兵日本
三島由紀夫は、「アメリカは、真の日本の自主的軍隊が日本の国土を守ることを喜ばないのは自明である。自主性を回復せねば、自衛隊は永遠にアメリカの傭兵として終わるであろう。」
と述べていました。
そして、割腹自殺の前に、バルコニーに立ち、自衛官に向かって
「自衛隊が立ち上がらなきゃ、憲法改正ってものはないんだよ。諸君は永久にだね、ただアメリカの軍隊になってしまうんだぞ。(中略)
諸君らは武士だろう。武士ならば、自分を否定する憲法をどうして守るんだ」
と叫んだのです。
国防という国のもっとも大切なことを自らの手で決定できないのなら、それは、独立国家ではない、自立なくして国もないということです。
その条件のひとつが、軍隊とその指揮権ということです。
言霊の国、日本では、軍隊を持つと戦争になる、核を持つと核戦争になる、徴兵制にしたら戦争になる、憲法9条があるから戦争にならない、と歩んだわけです。
恐るべき欺瞞ですが、そのおかげで、国は、一時、豊かになりました。
三島の言葉では
「物欲と拝金主義に犯された日本にはもはや将来はない。ただ、からっぽで、ニュートラルで、富裕な抜け目のないある経済大国が極東に残るだけだろう」(サンケイ新聞)
説明できないことを説明しないできたことの、つけがまわってきているのです。
とはいえ、ここまでまわし得たのは、戦前も戦中も戦後も、一所懸命、身を粉にして、他の人のために働き続けた国民であったからでしょう。
それが、学ばず、働かず、考えずに生きていくと、どうなるのか、
学んで働き、考える人々に支配されるだけ、、
いや、そうなっているのに、
まだ惰眠を、
いや、政治家などリーダーもまた注意喚起できないまま、居座り続け、状況を悪化させているのです。
#三島事件に関して
<かつて大衆の意識変革に成功した人はひとりもいない。アレキサンドロス大王も、ナポレオンも、仏陀も、イエスも、ソクラテスも、マルキオンも、その他ぼくの知るかぎりだれひとりとして、それには成功しなかった。人類の大多数は惰眠を貪っている。あらゆる歴史を通じて眠ってきたし、おそらく原子爆弾が人類を全滅させるときにもまだ眠ったままだろう。(中略)彼らを目ざめさせることはできない。大衆にむかって、知的に、平和的に、美しく生きよと命じても、無駄に終るだけだ。— ヘンリー・ミラー「特別寄稿」
(日本は)国防の問題をトランプ遊びかポーカーの勝負をやっているかのように議論する国である――を、認識できる人はほとんどあるまい。(中略)外国人は日本で自由な選挙が行なわれ、それに過剰気味なくらいおびただしい世論調査と言論の自由があるという事実こそが、日本に民主主義のあることを物語っていると頭から信じこんでいる。三島は日本における基本的な政治論争に現実性が欠けていること、ならびに日本の民主主義原則の特殊性について、注意を喚起したのである。— ヘンリー・スコット=ストークス「ミシマは偉大だったか」(三島事件 wikipedia)>