◯複数の選択肢のある環境を整える
私は仕事柄、ずっと人を扱ってきました。多くの人やさまざまな専門家と接してきたので、自分が万能だとか、誰もの問題をもっともよく解決できるとは、若いときに早くも思わなくなりました。
どこでも、相性のあった人が居続けていくのですから、本人にもバイアスがかかり、深めるほど内容も偏るのが、普通です。真面目で勉強熱心な先生ほど、経験を重ねることで、似たもの集団に囲まれ、気づかなくなりやすいのです。
天才的な指導者が、独善的でかなり偏ったような人になっていくのをたくさん見てきました。カルトや宗教もどき組織も、最初は、しっかりしていたところが多かったのでしょう。それがどうしておかしくなるのかというと、一つの教えのもとに同質化してしまうからです。
専門家に視野の広さを求めるのも、なかなか難しいことなのです。
今時、何もかも解決するようなことは一人でできようがないし、万能なカードはどこにもない、そのことを知ることが大切でしょう。
私のところは、いろんな人が出入りできるようにしています。さまざまなタイプの専門家を備え、リスクヘッジをします。選択の多様性を確保すること、自分で選んだり、第三者のアドバイスで変えたりできるようにしています。もちろん、他で学ぶことも大いに推奨しています。
◯主体的に学ぶ
学ぶというのは、自分で行うしかないのです。こちらは、その環境を整えるだけです。
もっとも気をつけなければいけないのは、教えられるときだけ教えられたことだけを学んでいるつもりになる人、学びの依存症の人を作り出すことです。洗脳もその一種です。
生きていくことそのものが学びですから、誰でも学んできているのです。大切なのは、さらなる意欲を発揮させられること、具体的に何をすればいいかという課題とか、自分自身で考えて、何をどのように学び、どう世の中に役立てていくのか、そういったことです。
必要なのは、学びの支援のために、場があり、人がいる、情報がある、その環境づくりです。
◯自立する
私たち人間は、生まれたときには、親か、それに代わる人がいなくては、死んでしまいます。長い間、一人では、何もできません。そこからの自立が、基本です。
教育でも同じです。ある人がいなくては何もできないのは、自立とは言えません。そこに通わなくては、何もできないのも同じです。
自分で主体的に行動するために、そういう場所や人を利用していく、教わっているのでなく人を使って学んでいく、そのようにならないと、本当の意味での本人の力にはなっていかないのです。
あなたの学びもまた、そこの場や人の学びにもなって、お互いに影響を与えていくようになるのです。