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ドラマ再放送「ハゲタカ」とこの25年

先日のドラマ紹介、シリーズ終わるまえに知りたいという声もあるようなので、

目下進行中のドラマで。

 

◯「ハゲタカ」再放送 月曜日21:00〜

 

4日前、SMBC日興の元幹部らは、市場外で転売するブロック取引を巡り、株価が下がらないよう特定銘柄を不正に買い支えていた件での調査報告書を公表しました。

そこに「人為的に価格形成をしたとの疑いを抱かせる行為であったと認めざるを得ない」と、不適切かつ不公正な行為と評価。原因は、業務指針の不備や担当部署での規律の不足、社内全般にわたる規範意識の希薄性などを挙げ、ガバナンス体制も「全般において機能不全に陥っていた」と指摘。3月に副社長が逮捕された事件です。彼は三井住友銀行の元常務です。

 

不適切、不公平、不備、不足、機能不全、未だに、こういうことが繰り返されています。日本の場合、大手やトップ企業も変われない。

政治家絡みの事件は、最悪、政治家の秘書や官庁の担当者の自殺で終わります。民間は、一社が潰れることもあります。トカゲの尻尾切り、スケープゴート、ババ抜きで、責任も処罰も曖昧にあやふやになるのです。だから、また繰り返すのです。

 

「ハゲタカ」第3話、

芝野「私は、銀行を守る立場の人間です。、、」

三島記者「本当にそれでいいんですか」

 

こうした不正は隠されて、その担当者は出世し、組織を守る犯罪者たちは結束を固めていく、一方、踏み絵を踏めず、良心に耐えきれず、告発した者は、去る。左遷される、人生の転落者、収入を絶たれ、家庭崩壊、離婚、、最悪、自殺。

 

能力ある人は、自ら組織を見切り、退職して去る。しかし、団塊の世代までは、行き場がなかったから、濁流にまみれるしかなかった、

私たちの世代からは、能力ある人ほど、40代くらいで自ら見切りをつけるようになりました。その後の人生での勝率5分くらいになったからです。

まあ、団塊世代は、上に、彼らが意のままにならなくても許容し育てる器のある実力者が内部にもいたので、見所があれば残れる機会ありました。派閥もあり、多様でもあったのです。生涯、一会社で、一家族でしたから、敵対もし可愛がりもされた。

しかし、そんな人物もいなくなり、多様性もなくなりました。組織に幹部に生涯を捧げる魅力もなくなったのです。そのあたり、団塊世代論で述べたので参考に。

 

昭和の日本が戦争に入っていった経緯も、高度成長も、そして、今日に至る停滞、転落も、こうした構図が、背景にあるのです。そして、それは今も、、。

欧米と違うのは、チェックするシステムがない、働かないこと。内輪の義理人情で動き、正義の通らないこと。

 

芝野「私は、44です。人生の折り返し地点はとっくに過ぎています。残りの人生、自分に言い訳しながら生きていくには、、長すぎます。、、」

に対し、

飯島「かっこええな。」「だから、だめなんだ。」と。

沼田「はいつくばって、ののしられて、それでも、与えられた仕事を一つ一つこなしていく、そうやって生き続けたとき、次が見えてくる。」「やめないのも勇気だよ、」

 

芝野への幹部らの言葉は、よくわかります。

すぐに会社をやめようとする人には、私もそう言うでしょう。古いかなあ。

この正義のために戦おうとする、かっこいい個人主義者が、日本人には少ないのです。

正義を知っても、組織とは別の自分の考えでは動けないのです。私たちは、長いものに巻かれ、同調圧力に屈します。だから「半沢直樹」が受けるのです。

 

私は、正義というのを否定的に使ってきましたが、ここでは、まさに良心に基づいた勇気ある行動を促す正義です。自らの過ちを責め、保身をよしとせず、組織を超えた大局から決断する、神の声に従う行為です。

 

鷲津「まだまだ、甘ちゃんのこの国を、、腐ったこの国を買い叩く!」

ハゲタカは、略奪者か救世士かー

このドラマは、ハゲタカの鷲津が悪役でなく、むしろ、芝野や老舗旅館を売られて起業家となる西野と並べて、

これまでの日本を変えていくことが必要だという強いメッセージです。

 

来週で再放送も完結です。

 

このドラマは、昭和の体制が抜けない大企業や老舗旅館を、自らは再生、再興のできない死に体の組織を扱っています。

当時よりは、ハゲタカの考えや価値観への嫌悪感は減ったでしょう。才覚のない後継者のワンマン経営は、まわりの悲劇であることを私たちは学んできたからです。

歴史、伝統、ローカルの精神風土は、新たな創造的破壊を通じて、再生を繰り返していくようにしなくてはなりません。

それは、新自由主義でのグローバルな世界観での理想が挫折しつつある現在、再び、見直されてきたものの、ただ過去(の栄光)に戻るのでは、壊滅するだけでしょう。

それでは、世界中で領土問題が再燃し、プーチン化してしまいかねないのです。

(いつのまにか、報道で、「プーチン一味」となった、ちょっとなあ)

 

ドラマの原作は、真山仁 さんの小説「ハゲタカ」「バイアウト」 。2004年〜。

ドラマ化は2007年。1997〜2006年の日本がテーマです。
主演は、大森南朋 さん、柴田恭兵さん、松田龍平 さん、栗山千明 さんら。

 

 

♯『ハゲタカ』

タイトル『ハゲタカ』『ROAD TO REBIRTH』(「再生への道」)

鷲津は、「三葉銀行」を退職、渡米し、投資ファンド「ホライズン・インベストメント・ワークス」日本代表に就任。ファンドマネージャーとして次々と日本企業を買収する。そして、三葉銀行の芝野に、再会する。

第1話「日本を買い叩け!」バルクセールとは、代物弁済、不動産ないし事業の譲渡と引き換えに債権を消滅させる。

第2話「ゴールデン・パラシュート」ゴールデンパラシュートは、高額な退職金。買収防衛策の一つ。ここでは、経営陣に退任を迫る条件と使われた。取締役会の決議での代表取締役の解職。

第3話「終わりなき入札」(サドンデス方式)

第4話「激震! 株主総会プロキシーファイト-Proxy Fight-(株主委任状争奪合戦)

あと2話。

 

ちなみに小説でのモデルは、

ホライズンキャピタル - リップルウッド、ユニゾンキャピタル、KKR

三葉銀行 - 三和銀行

ミカドホテル -金谷ホテル

太陽製菓 - 東ハト

足助銀行 - 足利銀行

鈴紡 - カネボウ

月華 - 花王

シャイン - キヤノン

曙電機 - 富士通を中心に大手電機8社(日立製作所パナソニック東芝三菱電機ソニー、シャープ、NEC富士通

ゴールドバーグ・コールズ - ゴールドマン・サックス

KKL - コールバーグ・クラビス・ロバーツ

プラザ・グループ - カーライル・グループ

(参考 Wikipedia)