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林真理子さん日大理事長 昭和から脱却 気になる学生

◯田中帝国の切り崩し

林真理子さん日大理事長、7/1就任、

日大には、16学部87学科と短期大学部があります。4つの専門学校と26の附属中高、3つの小学校と3つの幼稚園。100万人以上の卒業生がいて、日本の社長をもっとも輩出しています。学生数8万人。1889年、日本法律学校として誕生した、歴史ある、日本で最大の大学です。

 

これだけの大組織を、一人の男が独裁、田中帝国と呼ばれるまでにしたのです。

田中前理事長は、1946年12月6日生まれ、団塊の世代の頭ですから、体育会のような縦型組織においては、最も強い立場で君臨したのです。

 

50年以上前、日大の全共闘を弾圧した用心棒、相撲部、体育会、応援団として、ある意味、大学の手先ですが、体制側についた功績から、大学側に認められていったようです。

 

逮捕され有罪判決でも、退任してもなお大学に立ち入り、影響力を持っていたボスとその体制を切る試みが、どこまで成し得るかでしょう。

 

◯体制を変えるための外圧

これまでの日本の組織は、男性同士の人間関係、つまり昭和の体制、その上下関係で支配してきたのです。

日本のこうした組織風土、定年の60代を過ぎても、権限ある地位についていたり、地位を離れてからも影響を与える人たちがいると、改革は、進みません。

子飼いの弟子たちが、次の権力者となり、院政体制がひかれるからです。

継承者たちは、忖度の名人で、上の言うとおりに動いて、地位を得たのですから、逆らえません。改革の能力には、もっとも欠けた人たちです。昭和のあるところまでは、追いつけ追い越せだったから、それがよかったのです。

 

となると、これまでと縁も所縁もない異質な人材を入れるしかないわけです。

女性、文化人は、外国人とおなじく、ある意味、日本の旧態依然とした組織には、外圧です。

日本は、外圧でないと大きくは変わらないのです。未だ自浄作用がない。

結果はともかく、日産は、異邦人ゴーン氏だからこそ、思い切ったリストラができ、再興できたのです。

 

日本人の男性にはできない、しかし外国人や女性なら、できる、いややりやすいのです。その意味において、日本での女性や移民の活用は、無理にでも推し進める価値があります。

組織が透明になり、新しい改革が可能になり、あたりまえのことができるようになります。

昭和から脱皮できます。

 

林真理子さんは適任か

なぜなら、権力や地位にはしがみつかない人が、トップとなるからです。

林真理子さんは使命感だけで就任したようなので、改革を進めていくのでしょう。

実績はない分、既成の観念に囚われず、ブレーンで補えることでしょう。

有名作家で、マスコミを使えるので、残党からの不当な圧力もかけにくいでしょう。

30年も関係してきた文春の砲も打たれにくいでしょう。

 

昭和の終わりと共に放さなければいけなかった、日本の組織風土、慣習が、平成を超えても未だ残っていることが、日本の失敗の要因のひとつです。

そのために、その代表格であった日大理事長の交代は、とてもわかりやすい例になるでしょう。

 

◯学生への懸念

それにしても、今の学生は、動かない、のですね。

大学の不正、スキャンダルが次々と出るなか、憤る人2割、諦める人8割とか。

お上や学校が正義、ネットを恐れ、叩かれることを怖がり、就職や将来に不利かもと、逆らうどころか主張もしない、社会運動に不寛容、大学生のうちから忖度してどうするのでしょう。

それは、田中体制を支えた取り巻きより大きな問題です。

高い学費を払っているのに、学ぶ場の歪められている現実から目を背け、保身に走る、

その生き方は、次にもっと巨悪の独裁者を生み出しかねません。

 

まあ、おまえは、学生時代、どうだったかといわれたら、どうでしょうね。

自分のことしかせず、授業も出ず就職活動もまともにせず、ただ、他の人と同じように過ごすことはしなかったから、今の状況なら、案外、憤るままに活動したり、見切って退学したかも、でしょうか。学生運動からこうした日本の組織に髪を切って馴化した世代のあとだけに、妙に静かでした。そこから日本はバブルに突っ込んでいったのです。