◯BTSと日本の違い
韓国の「BTS(防弾少年団)」は、活動を一時休止してソロ活動に専念する意向を表明しました。5/14
「韓国のアイドルシステムは人として成熟するための時間を与えてくれない」と。
K POPでは、練習生として、7年ほど寮などに共同で住み込みでレッスン漬けの毎日です。世界に通じるレベルまで鍛え上げるわけです。
「東方神起」が日本の市場を狙って成功したのが2009年までの4年間でしたから、その後の大飛躍です。
日本のアイドルのように未熟のままにデビューさせ、その成長プロセスを楽しんでもらうようなものは、ありません。完成度だけが重視されます。
その分、投資回収のため、契約でがんじがらめされているのです。
日本のアイドルは、その後のプロセスで成長しているのでしょうか。タレントとしては成熟した人もいますが。
BTSは、世界トップに昇り、社会的影響力を持った上に、さらに人として成熟しようというのです。今後を期待したいと思います。
私は、彼らの活躍を韓国の映画の躍進と同列にみてきました。
国際的に評価された美貌、イケメン度とパフォーマンスは、さすがです。
というか、そこは素人の感想です。でもステージの完成度は確かです。
歌唱や音楽性については、それを第一に評価しているグラミー賞を逃したこと、ノミネートされただけでもすごいのですが、その結果、評価は正しく思います。アジアだから差別されたとは思いません。
このところ、グラミー賞も差別問題の渦中にあるので、今回は賞を与えるのかと思いましたが、ほかに優秀なアーティストがいたこともあり、フェアだったと思います。
2017年、アデルが五冠で、ビヨンセにエール、選考基準批判のようなことは起きませんでした。
歌が芸能からエンターテイメントとなり、久しいですが、今後、どのようになっていくのでしょうか。
◯解説 BTSの発言と国際的影響力
バイデン大統領は2021年5月、コロナ禍でアジア系住民に対するヘイトクライムが急増していることへの対応する法案に署名、成立させました。
全米1位とかグラミー賞連続ノミネートではなく、社会的にメッセージを発信してきたことから、です。
たとえば、2021年にジョージア州の3カ所のマッサージ店で、韓国人4人を含む8人が犠牲になった銃乱射事件の後に、BTSは、ツイッターで次のように述べています。グループアカウントでの発信も彼らの特徴ですね。
「私たちもアジア人として差別に直面した瞬間を思い出します。理由もない罵倒や見た目をマネされることを耐えてきました。なぜアジア人なのに英語を話すのかと聞かれたことすらありました」
「そんな理由で憎悪や暴力の対象になるなんて、その痛みは言葉に表すことができません。私たちの経験など、この数週間で起きたことに比べたらとるにたりないでしょう。それでも私たちに起こった出来事は、自分には力がないと感じさせ、そして自己評価を破壊するのには充分でした」
「今おこっていることは、アジア人であるという私たちのアイデンティティと切り離すことはできません。この話題をあげることについて慎重に時間を重ねて熟考しましたし、どのように声をあげるかも深く考えました」
「しかし私たちの声をどう伝えるかというのはとても明確です」
「私たちは人種差別と闘います。私たちは暴力を強く非難します。
あなたと私たちは、皆、尊重される権利を持っています。私たちは団結します」
BTSは「#StopAsianHate」「#StopAAPIHate」というハッシュタグと「私達は人種差別に反対する」という声を上げたのです。
ユネスコのオードレ・アズレ事務局長は、BTSの投稿をリツイートし、「BTSに感謝する」と述べた。
また、「芸術家、音楽家、政治家、市民は皆、果たすことのできる役割がある」
「ユネスコは、人々の心の中に平和をもたらすには、すべての段階、すべての単語が重要だと信じている」と。