fukugen(福言):出会い気づき変わるためのヒント

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内からの改革 ロシアのジャーナリストの一矢

◯ロシアの綻び

ロシアの国営テレビ局で14日、ニュース番組の放送中に女性が乱入、キャスターの背後で「NO WAR」ロシア語で「戦争を止めろ。プロパガンダを信じないで。彼らはあなたに嘘をついている」のメッセージを掲げ、叫びました。

第一チャンネル編集者のマリナ・オフシャニコワ氏です。映像が突然切り替わり、同氏は身柄を拘束されたといいます。

ロシアでは3月4日に、自国の軍事行動について「虚偽」とみなされる報道をした場合、最大15年の懲役や禁固刑を科す法律が可決されています。

 

彼女が事前に録画していた動画もネット上で拡散しています。

「今ウクライナで起きていることは犯罪であり、その責任はプーチン大統領にある」

「残念ながら、私はこれまで何年も第一チャンネルで働き、クレムリンプロパガンダに加担してきました。そのことを心から恥ずかしく思います」

「TVを通して、嘘を伝えたことを恥じています。ロシアの人たちのゾンビ化を許したことが恥ずかしい」

「私たちロシア人は思慮深く、知性があります。この狂気を止めることができるのは、私たちの力だけです。抗議をしてください。何も恐れないでください。彼らは私たち全員を監禁することはできません」

 

◯体制の内からの改革

悪いことは主体的、能動的になされるとは限りません。むしろ、受動的に、自分の意思に反して、結果的に犯してしまうものです。

悪とは、陳腐なもの、ありふれていてつまらないものです。決して普通ではないとか特別なものではありません。ですから、純粋で誠実で正直で一所懸命であることが、ときおり、悪となるのです。

どんな体制でも、自分なりの見解を持って、批判的に見なくては、悪に染まってしまいます。体制を無批判に受け入れてしまうことによって、誰もが悪となるのです。

しかし、ほとんどの人が、そのようにして生きているのです。

そこから離脱してしまうと、社会的には、なかなか、うまく生きていけないからです。

 

彼女のような行動は、まさに、この離脱で、まわりに支える人がいないと、悲劇となりかねません。ロシアの政府内部に助けてくれる人がいるとよいのですが、、。

これは、生放送ゆえに可能だったわけで、ロシア政府の報道規制の上をいき、しかも、別の映像まで事前に配信しています。これはロシアの体制の綻びであり、リアルな状況の見える化と並んで、情報化社会ならでは民意の発信力です。

 

私は、ウクライナの問題は、ロシアから言わせるとアメリカ側の方がもっとあからさまな侵略を散々やってきた、という点にもあるとは思います。しかし、この8年でも民意も含め、国際的な意識はかなり変わったのに、プーチンは変わらなかった、のです。

 

とにかく、人を殺すことはよくない、力づくもよくない、でも、話し合いで解決しないことはたくさんあるのです。

日本人は、北方領土尖閣諸島のために、本気で命を投げ出してまで戦う気概はあるでしょうか。領土を奪われる悲哀を彼らほどに知らないのは、最大の弱みです。

アメリカに必要がなくなれば、北海道や沖縄も日本でなくなるかもしれません。尖閣諸島は、台湾に属するという国にも言い分があるのでしょうから。

 

歴史的にみると、外から体制をすべて壊して変えようとしても、より悪化するか、再び、似た体制ができることが多いのです。

体制に適応している内部の人が、自己批判的に行動してこそ、自らがのっかっている体制を打破できるのです。

それでも一挙には難しく、修正、改良していく努力を続けて、ようやくのことが多いです。

一矢を無駄にしない、そのためには、内部からそういった告発や批判をしつつ、絶えず変革し続けることが必要なのです。日本の政治家や官僚、ジャーナリスト、メデイア関係者は、特に多くを学んでほしいものです。

 

日本にいるロシア人やロシア関係の商売、店、会社に差別の目を向けないように。

困っているようでしたら助けましょう。

困っているのは、ウクライナの人ばかりでないのです。