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ロシアのイデオロギー 河瀬直美氏の祝辞

◯ロシアのイデオロギー

ロシアの哲学者ベルジャーエフの「ドストエフスキーの世界観」。ロシア革命は、政治権力を奪取したのですが、社会主義の理念を根本的に崩してしまいました。根底にあるべきヒューマニズムは、人間性を否定し、人権無視の横暴に向かってしまったのです。今では、誰もが知るところになりましたが。ユートピアではなくディストピア、悪魔的原理によって生み出された獣的集団化社会だと、「悪霊」や「カラマーゾフの兄弟」のなかの「大審問官」がつくった社会と同じだと批判したのです。

これは、レーニンスターリンのところへつながる話です。そして、自由とヒューマニズムをキリストとともに目指したドストエフスキーの世界観を語るものです。

ベルジャーエフのいうのは、歴史的なるものが人間的なもので、伝統と記憶が意味を与える、

そこから、この話題に入ります。

 

映画作家 河瀨直美氏の祝辞の炎上問題  

令和4年度東京大学学部入学式祝辞

まずは、原文の抜粋から。

<(、、、は中略、)

、、、振り返ってみれば、守るべきものの継承は自身のルーツに大きく指針を得ていたことに気づきます。、、、生活は質素でしたが、謙虚であり、昇りくる太陽に感謝し、街角の石仏に手を合わせて祈りを捧げる。つまり「目に見えないもの」への感謝を欠かせない時代の人たちの暮らし。それを体現して育ちました

、、、

あなた方と同じ年代の頃、私は「映像」に出逢います。、、、

きっと私はあの時、なぜ自分がこの世界に誕生したのかを、悟ったのだと想います。

それは、精神の誕生日ともいうべき、肉体の誕生から18年経ってようやく辿り着いた「実感」だったのです。皆さんにその「実感」は宿っているでしょうか?当たり前に思っていることの奥に「ものの真理」が隠されていることを信じて、突き進んでください。

、、、

今、一つのことに集中して取り組むことがいかに困難か。私たちの周りにはとてもたくさんの「情報」が手に入り出しました。そしてその「情報」は瞬時に目の前にやってきて、そして次の瞬間には過去になっている。

つまり扉は無限に私たちの目の前に広がりました。そのどれをとっても魅力的であり、どの道に進んでもまた別の道がある。というように、あなたの未来にいくつもの可能性を示唆してくれるようになりました。けれど、それは大きな罠でもあったようです。

ある映画人が私にこんなことを教えてくれました。たった一つの窓をずっと見つめ続けてください。若い世代には特にそのことがとても大切であることを忘れないでください。そのたった一つの窓から見える光景を深く考察してみてください。そうすればその窓の向こうにある「世界」とつながることができる。私はその言葉を頂いたときにとてもハッとしたことをよく覚えています。

なぜなら、自分の部屋から見える窓の向こうの景色には「真理」が隠されているのです。そしてその「真理」を知ることで、結果的に世界中の人との出会いを豊かにします。それは他でもない自らの言葉でその真理を伝えることのできる自分でいられるからです。これこそがオリジナリティであり、他の人には真似のできない唯一無二のものとなります。

、、、

今、世界はあるひとつのバランスを失って、かけがえのない命が奪われる現実を見ることとなりました。「戦争」を世界から無くしたい。

、、、

これは私の感じ方に過ぎないと思って聞いてください。管長様の言わんとすることは、こういうことではないでしょうか?

例えば「ロシア」という国を悪者にすることは簡単である。けれどもその国の正義がウクライナの正義とぶつかり合っているのだとしたら、それを止めるにはどうすればいいのか。なぜこのようなことが起こってしまっているのか。一方的な側からの意見に左右されてものの本質を見誤ってはいないだろうか?

誤解を恐れずに言うと「悪」を存在させることで、私は安心していないだろうか?人間は弱い生き物です。だからこそ、つながりあって、とある国家に属してその中で生かされているともいえます。そうして自分たちの国がどこかの国を侵攻する可能性があるということを自覚しておく必要があるのです。そうすることで、自らの中に自制心を持って、それを拒否することを選択したいと想います。

、、、

主観と客観を持つことこそが、表現者たる資質を獲得することに他ならないと感じていました。、、、

この自由な学びの場で存分に生きてください。これからたくさんの人に出会い、たくさんの本を読み、様々なことに挑戦していくのでしょう。見た景色、聞こえた音、匂い、味、肌触り、そこから生まれた感情を大切に、どれだけ小さかろうとあなた自身の想像力をもって真理を見つけるたった一つの窓の存在を確かめてください。どこまでも美しいこの世界を自由に生きることの苦悩と魅力を存分に楽しんでください。、、、>

 

ロシアを悪者にすることは簡単、云々、と言ったことで、炎上?

ロシアを非難する人たちに反論したように受け止められたのでしょうか。ロシアの正義について根拠を語ってないから、あるいは、国際関係や政治の専門家でもないのに、とか、天下の東大になぜ、若いのに、女性だから、とか言わないだけで、その根にあるのかもしれませんね。日本は侵攻される可能性はあっても侵攻などするはずないというのは、日本を信じている日本人には、不快な言い方なのでしょう。

で、批判したいがための批判のように思われます。その点、まぁ炎上したから、それをここで、という私も同じなんですが、その自覚あるのかということです。

 

「例えば」で、ウクライナ危機という現実の問題を入れたのは、それを抜いて今を語れない、現実の出来事をそこに絡める必要を感じたからでしょう。

これは、これから大学で学ぶ人に向けたメッセージです。学んでいく態度をアドバイスしているのです。ジジイたちに討論をふっかけているのでないから余計なお世話!と、代わりに言っときましょう。

 

私は、これから学んでいこうとする人たちに、こういう順番で伝えるのは、とてもよいと思います。まず自分の生い立ちや環境から得られたものがベース、そして自分に実感を与えてくれたもの、実感、真理、扉、可能性、世界、窓、想像力、オリジナリティ、自由、苦悩、魅力、そして現実の世界、主観と客観、表現者、、、。

そういえば、2年前も似たことがあったな、、。

ロシアのことは、明日。

 

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