〇ワーキングプアドクター
ドクターを終了しても、行き場のない高学歴ワーキングプアになっていく人が多いです。
アカデミックな分野でさえ、賞をとってなんぼ、というようなギャンブル的な人生を求められるようになってきたのでしょう。
ちなみに、医者など専門家は、経歴としてどの大学を出て、どこで働いて開業したという経歴が書いてあります。昔の職場の近くで開業する医者は、そことの関係がうまくいっていると思われます。
〇価値観
ITネットの発達により、生産者、創造者よりも、消費者の評価を重視する社会、その価値観一辺倒へと移行していきました。それは、一言で言うと、市場主義、目の前の評価、ランキング、価格しかみない刹那的なものです。
そこに乗って生きるか、それに振り回されないで生きるのか、
そこは二択というのではなく、うまくバランスをとることが大切でしょう。
ただし、この価値観は、医療や教育などの分野においては、よくよく考えなければなりません。倫理や道徳が絡む分野では、市場主義は、とんでもない害をもたらすことが多いからです。
〇金より仕事?
生活保護よりは、仕事をくれという欲求は、正当なことだと思います。働くことでは、お金よりも承認が得られるからです。
しかし、それは自分の働いたお金で食べられることが幸福と、どこかで知って学んでいたら、ということでしょう。
〇命を削る労働
しかし、働いたことで1度もよい思いをしたことのない人は、必ずしもそうならないわけです。自分の尊厳が壊されるような社会、働くことで自分が壊れることのような経験しかないのなら、どうなるでしょう。
ポジティブなイメージが思い描けないのではないでしょうか。
自己肯定などをテーマとした本が、若い人に売れているのは、かなりの危機状況と思われるのです。
命を削ってまで働くというのは、上の世代のことだと思っていたのですが、
下の世代こそが、本当にそういう現実に直面しているのです。
そこに、将来の希望や幸福感がないとしたら、絶望的になるのは当然のことでしょう。
〇江戸ユートピア幻想
昔の日本、特に江戸時代などが環境問題なども含め、理想的に取り上げられます。しかし助け合って生きるだけの優しい社会だったわけではありません。
江戸時代も自己責任を根本においた社会でした。
まわりが救済してくれたとしても、その分、社会的制裁も課されていたのです。日ごろの素行から救済されない人もいました。
むしろ、ある面では、その方が正しいのではないでしょうか。もちろん正しいのと良いのは、別のことですが。ワンフォーオールですね。
本当に困窮したときに助けられる社会体制があることは必要です。しかし、それはあくまで非常事態において、悲惨な状況を助けるためであって、一時的に、であることが条件です。
依存させてしまうこと、あるいは、本当は必要ないのに与えること、与えすぎることは、決して、してはならないのです。人間、弱いものです。自助努力、自立を遠ざけてしまうことこそ、用心しなくてはなりません。
税金の投入ですから、給付でなく、せめて無利子貸付にしなくては、まっとうでないと思うのですけど、ね。