fukugen(福言):出会い気づき変わるためのヒント

表現、創作、スピーチ、雑談のネタの欲しい人、今の自分と社会・世界を結びつけたい人、考えを深めたい人に

自由と労働の罠

代々木の焼肉店で立てこもり事件がありました。「人生終わらしてくれ」と言ったそうです。28歳、仕事を転々とした後、路上生活をしていたそうです。焼肉を食べた後の犯行でした。

 

前回のブレバトの俳句、「冬天よ母を泣かせてくる街か」

「三時のヒロイン」の福田さんの作品です。夏井先生も絶賛。思わず泣いてしまいますね、、、。

寺山修司 が、小説「あゝ、荒野」に使った「マッチ擦るつかのま海に霧ふかし身捨つるほどの祖国はありや」を思い出しました。

多くの人が故郷から都会に出てきます。親の反対を振り切ってきた人もいるでしょう。

自由を求めて、しかし、その自由は、決して思い通りになる自由ではないのです。

 

〇2つの自由 

自由には「~の自由」と「~からの自由」があります。

スモーキングフリーは、タバコからの自由で、これは、どこでも吸ってよいのでなく、その逆で、禁煙となります。

日本語ではおかしくなりますが、働く自由に対して働くしかない自由がありわけです。それは自ら生産の手段がないという自由です。つまり、フリー、フリーターのニュアンスの自由なのです。

 

〇労資関係 

労資の関係は、自由で平等なものを目指したのです。

しかし結局、「資本は社会に強制されない限り、労働者の健康と寿命に配慮しない」(マルクス)というようなものでしょう。

 

〇不足の充足 

20世紀には、戦争のときに、女性も子供も働くことになりました。背景に、国民の総力戦であり、機械化という進歩があったからです。それでようやく女性や子供は、その価値を認められてきました。社会の働き手となったからこそ、その後、権利も獲得できたのです。

 

今の日本では、人口減などでの労働力不足で、「女性活躍社会」などといわれて、女性が戦力とされてきています。

不足への充足ということで起きていることについては、注意深くみる必要があります。その背景やさらに、その裏にある動きについて、です。

 

〇能力給への錯誤

出来高制は、実力主義のようですが、個人に大きな裁量を与えるという競争です。そこで皆ががんばるほど、結果、安くついて安く使われます。

となると、時間賃金と同じか、それより悪いことになることもあるのです。

 

日本では、正規雇用が理想的のように言われていますが、非正規雇用との待遇の格差が問題であって、正社員だけが守られていることの問題ですから、論点がずれているのです。まだまだ、旧態然としたモデルに合わせて運営されているのが、この国です。

 

自由に自分の実力で働きたいと言うことは、実力がなければ不自由、先に挙げた言葉で言うとまさに自由になってしまうということです。

自由というのは、常に諸刃の剣なのです。

でも、人生は、生涯、守られて生きる方がずっと不自由で不自然だったのかもしれません。