◯ことばの嘘、声の真実
ことばは、それを通じるもの同士の結束を固め、
そうでないものを敵視することで、いくつもの争いを起こしていきました。
その争いは、次第に大規模になり、悲劇を大きくしてきました。
つい最近まで、仲良くしていた国や民族が、いきなり殺しあうようなことが起きるのです。
憎悪を煽り、その伝達が、ことばによって、拡大されていったからです。
空虚なことばの膨大なやりとり、それを突き詰めると、思想や言語への不信感につながります。
ことばの通じる仲間を得ることで、ことばの通じない仲間以外の敵をもつくっていくことになりかねないのです。
そうなるのは、ことばを通じさせようという努力を怠っているからのように思います。
ただ言語が違うだけなら、翻訳や通訳のAIアプリで、これからの異言語コミュニケーションは、ずっとよくなるでしょう。AI通訳器ひとつで、心が通じ合うように思えます。
その分、増えた相手、よくわからずに、やりとりする相手と、どこまでコミュニケーションができるのかということです。
ラジオや新聞が、相手を理解し得ないように煽った結果、戦争に駆り立てられたようなことが再び、新しい強力なメディアの登場で起きるとは考えられないでしょうか。