無言館館主・窪島誠一郎さんの著書、集英社新書で「無言館ノオト」が出ている。慰霊でなく、無言とした。死んで無言でなく、私たちが「無言のまま、立ちすくむ」と。
それをめぐる日本人のさまざまな捉え方が書かれている。これは同時にみるものに立場をしいる。すすり泣きの聞こえる美術館内で、あたしは作品だけをしっかりみようとしたかった。でも、思わず手紙や遺留品に心がいってしまう。遺品、供養と、アートの違いについて。しかし、選ばれた作品はやはり一等品なのだ。
盲目のテノール歌手、新垣勉さんのコンサートを思い出した。いつも盲目とつく。芸術と作者の事情。とらわれたくなくても、とらわれる現実、まだ過去にならない。