◯昭和には戻れない
昭和の頃をよかったとか、戻りたいとか、日本の停滞に対して、過去を美化することは、意味がありません。ひどいことも多かったし、見えなかったし、一言でいうと、若かったのです。
日本での家族主義がうまくいったのは、寿命が今ほど長くなく、兄弟がたくさんいて、男性の稼ぎ手の雇用が安定していた、そうした条件があるからです。
日本が戦争に突入して亡国となってしまったのは、ポピュリズムのせいです。マスメディアが煽り、それにのる国民、そして軍部の独走となります。
1905年の日比谷焼き討ち事件では、ロシアから賠償金が取れなかったことで、暴動になりました。さらに1933年の国際連盟脱退退です。なのに、国民は心配などせず、歓喜していたのです。
日本の1940年体制では、上下の対立が緩和されていきます。
昭和の調整型政治に、日本型経営、日本型市場経済のもとで高度成長をして、1億総中流社会となったのです。
今から考えると、これは、日本型の民主的多元主義でした。
その後、労働組合も農協も地域共同体も、東京一極集中と過疎化によって、弱まっていきます。中間層が弱体化したのです。
グローバリズムに走った世界ですが、それに対し、日本は相性が悪いのです。日本人には、庶民的なものが大切だったからです。
「ナショナリズムは、近代に発生した」という主張を近代主義と呼びます。
ナショナリズムの主張を、原初主義、永続主義、近代主義、神の象徴主義に分類します。神のようにあらゆるものに先立って存在し、いつの時代にも存在し、その象徴であるという立場です。
しかし、貿易が盛んになると、否応なく、世界のグローバルな構造に組み込まれていくことになります。