◯頑張る以前の問題
「頑張ったら報われる」と言う人は、ときに自分を取り巻く環境が恵まれていたことを自覚していないことがあります。それなりに、報われた人は、親や学校などの環境の上で、自分の現在があるのです。(上野千鶴子氏が2019年、東大の入学式で言ったことをここで触れました。)
それを活かす努力はしたとしても、努力のできる環境は、決して独力だけで得られたわけではないのです。
頑張ることさえ、できない状況に置かれている人もたくさんいます。
そこには、援助が必要です。
そこでは、まず褒めてでも自己肯定感を与えていくことも必要です。
ただし、そうでない人まで、一括りにしないことです。
◯貧乏と貧困
ひどい状況におかれた人を公共のサービスなどで一時的に助けることも必要です。
そこは日本は恵まれている方です。
アメリカあたりでは、お金がないと最低の生活も営めない貧困、公共サービスがない貧困で、本当に生きていけないのです。だから、頭がよいというのは、お金を稼ぎ、成功していることとみなします。
日本もそういう影響を受けてしまいました。
日本人は、貧乏でも豊かな暮らしをしていたのに、今は、生きていけない貧困が広まっているのです。
そこは昭和な半ばまでの貧乏とは、異なるところです。
◯自立する
一方で、「いつまでも頼りたくない」という個としての自立の芽をつんではよくないです。
働くことは、社会的なつながりになります。
余生ならともかく、働きたくて働ける人には、働き口を与えることです。
雇用の確保です。
人間、弱いものだからこそ、甘えさせたら抜けられなくなるのです。
ようやくですが、最低賃金が上がってきたのはよいことです。
しかし、いつのまにか日本のバイト料の2、3倍、海外で稼げるようになってしまいました。
当然、頭脳も労働力も流出しつつあります。
日本が貧しく、生活のために、海外に出稼ぎどころか
移住していった時代の再来を予感させます。