fukugen(福言):出会い気づき変わるためのヒント

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戦争の仕組み

◯戦争で変わったこと

アメリカやEUが本気で乗り出せば、ロシアのウクライナ侵攻は停まるかもしれません。しかし、アメリカは、そんなリスクをとりません。いつも通り、武器の廃棄処分に利用し、援助金を巻き上げようとしています。支援する国のなかには、武器の性能をアピールして商売に活かそうとするところもあります。

戦争を取り巻く状況は、今世紀になっても、変わっていないのです。破壊と復興こそが、最大のビジネスチャンスだからです。

変わったことといえば、大国では兵士一人の生命を重んずるようになったことでしょう。自国民の戦傷者を出すことに慎重になりました。若者が戦死することへの反発が、国内で大きくなり、政権のダメージになるからです。

戦死が、国の英雄やその証ではないことがわかってきたことも大きいでしょう。ネットやメディア、特に戦争に関する映画の影響も少なからずあったでしょう。

ヒーローは、戦争で活躍した人でなく、戦争に反対した人になってきたからです。

 

◯緩衝地帯と前線

そこからみると、ロシアとウクライナのリーダーは、前時代的なヒーローです。

日本は、かつて満蒙を生命線として自ら放棄できませんでした。

今のプーチンウクライナに対して地政学的に同じような位置付けをしています。冷戦のときには、東西ドイツが緩衝地帯に位置していました。

まず戦場となるのが、そうした境界に位置する地域です。半島は、その代表例で、東アジアでは長らく38度線を囲む北朝鮮と韓国にあたります。

日本では、南北の端から順に、尖閣諸島ー沖縄、北方領土ー北海道です。ただ、海が外堀となっているのは、恵まれていました。

自国のまわりに緩衝地帯地帯をおくのは、最大の侵略防止策です。そうなると、そのために、より安全を担保しようと広がっていくのです。

「敵基地攻撃能力」という考えと似ています。自民党がこの間、「反撃能力」と言い換えました。専守防衛のなかに加わってきたのです。前方での抑止といって、その前線が広がるのです。

 

◯仮想敵国

日清戦争の勝利によって賠償金で潤った日本は、その後、戦争は儲かるものという思い込みがあったのです。まあ、大体が、負けたら悲劇、勝ったら儲かるから、争いごとなのですが。

私たち人類は、20世紀に、

「戦争は、勝っても負けても割に合わない、双方に悲劇でしかない」

という教訓を得てきたはずでした。

 

政権は、不安定になれば、国民の不満を外敵に向けます。戦争すると支持率が上がるからです。9・11後のアメリカの国民の高揚は、パールハーバー以上でした。八つ当たりのように気に食わなかったイラク政権を崩壊させました。ひどい政権でしたが、国連は、そこでも無力だったのです。

今でも、一国のリーダーは、そのように考え、仮想敵国を想定して備えています。敵がいないとまとまらないのです。こうして、政治と民衆の想いが、乖離したり密になったりして、時局は、動いていくのです。