私は、声優さんなどには、お笑い芸人のレベルのことをマスターしていくようにお勧めしています。歌やダンスなども兼ねていくとさらによいでしょう。
この30年、芸能の世界をリードしてきたのは、紛れもなく、お笑い芸人たち、いえ、お笑い芸人に目標を絞ったアーティストたちだからです。彼らの世であるのは、テレビでの露出度や収入からも明らかですが、もちろん見習うべきなのは、その表現力です。
〇芸人ゆえ
ただ、私はそれ以前からずっと持ち上げてきたお笑い芸人を対して、ここのところ、あまり評価をしなくなってもきました。
評価にとらわれてしまうと、芸人でなくなるからこそ、芸人でしょう。
体制に反抗するようなふりをしながら、どんな体制でもそれに応じてうまく生きていくといく、それも芸でもあり、芸人であることとしましょう。
政治家におもねる役人や器用に出世するサラリーマンと変わらなくとも、日本の忖度芸を、日本の芸人ゆえ、まねたこととしましょう。
そうした人間の弱い性を表すのも、芸人、
一方で、強がりまくるのも芸人としてもよいでしょう。
いつの間にか、勢いやテンションだけで、笑いを強要するような安易な芸風に陥ってきています。かつての日本の歌い手のように、形骸化の流れが見えます。
彼らが、そういうことに気づかなくなったのではありません。そうしたタレントどころかセレブ扱いにのっていってしまうのです。
歌の世界と同じで、客が芸で見ないからです。芸の低下を厳しく批判しないからです。
有名人とかテレビに出ていることでちやほやするからです。
それは本当のファンではないのです。
勲章やメジャーなコマーシャルを断るくらいの、気概のある芸人はもういなくなったのでしょうか。
〇芸人の資格
日本の文化面での援助は、名があったり功を成したところに行われます。無名人を助けるのでなく、有名人とのコネクションを作ろうとする思惑が見えます。
本当に必要なのは、才能があっても磨く場や世に出る機会のない人たちです。
歌い手とか役者でも、不器用に一つの世界にしがみつき極めていく人は、案外とまともだと思うのです。しがみつくだけでなく、究めていっているのか、そこが肝心です。
ですから、表に出てこれない芸人に手を差し伸べ続けています。
皆さんも、真の芸を発見し、フォローしてあげるとよいと思うのです。
と、ここまできて、お笑い芸人が、芸より笑いをとるのは、当然だろうな、
私も古くなったな、と思い当たるのです。思い当たる分、ましか。