日本人は、第二次大戦後だけでなく、江戸時代など、世界でも稀に見るほど長く戦争を避けてきた時期がたびたびありました。平安、室町、江戸、大正と、木村尚三郎氏が、女時と言った、平和な時期が、戦乱の男時と交互に来たわけです。
日本の場合、庶民もまた、文化の担い手でした。そのせいもあってか、あまり物欲で贅を尽くすようにはならず、物質的なものに走りませんでした。たびたび、倹約令も出されました。
外でなく内に向かっているところでの精神的な満足があり、それを大切にしました。
他人に対する競争心や敵愾心でなく、占有欲や所有欲でなく、向上心に集約していったわけです。それは、まさしく日本人の美点なのでしょう。