「バックミラー越しに現代をみている」と、かのマクルーハンは言いました。
バックミラーとは過去のデータのことです。そして、「未来に向かって、後ろ向きに進んでいく」といいます。電波怪獣こと竹村健一氏が広く紹介した人で、いわゆるテレビというものがクールなメディアで世界をどう変えるかというようなことでした。
しかし今となってみれば、それはインターネットにより適合することのように思えます。つまりワンウェイとツーウェイとの大きな違いなのです。
マルチメディアと言われ始めた頃に、ホットなメディアであるラジオのパーソナリティと視聴者の電話のようにツーウェイが理想とされました。それは25年くらい前のインターネットによって実現できる目処が立ち、SNSで現実化したわけです。
私たちは、何か新しいことが起きても、今までの過去の体験にとらわれてしまって見ているので本質が見えないのです。それは新しいメディアが登場したときを考えてみればわかります、インターネットの登場で、孫正義氏はすぐに検索エンジンの重要性を見抜きました。デジタルでは、無制限にデータ情報が集められるところまでの見通しはつきます。私もデジタルの特徴として講義していました。しかし、検索エンジンが、その世界の入り口となり、それを制するものがビジネスの覇者になることは、簡単に予知できないものでした。なんせ初期には情報など蓄積されていないからです。まずは、文字電話のようにしか思えなかったわけです。
ラジオやテレビや電話が登場したときに、みんながそれを最初にどう思い、普及したらどう使われていたかを調べてみるとよいでしょう。テレビが出たときに、ラジオはなくなる、ラジオが出たとき、新聞はなくなると言われました。電話が出て、電報はなくなるし、メールやSNSは、郵便をなくしつつあります。
インターネットで、新聞、テレビ、ラジオ、レコードやDVD、漫画、本、さらに、郵便、送金、投資、店まで、あらゆるものがとって代わられています。桁違いに強い総合力を持つのです。とはいえ、元は電話回線網の強さです。セカンドライフなど、似たようなもので消えていったものを考えてみるとわかります。インターネットこそ、過去のネット網の応用、変形であって、決して新たな突然変異ではないのです。
マクルーハンが言ったことが、インターネットにはどう通じているのかをみるとよいでしょう。過去にとらわれるのではなく、過去に新しいメディアをどのように評価したかというのをみると、今後、新しい状況が現れたときでも予知がうまくできるようになるでしょう。
ときにわれわれは過去にとらわれすぎていると反省することも必要です。しかし、そこからこそ、20年30年先に、どのようになるかの一端が見えるはずです。