日本語には、主語がないと言われますが、欧米のグラマーで体系化するからです。主語というのなら、私を表すものだけで数えきれないほどあります。相手によって、使い分けるので、我が強いのでなく、関係性で使い分けるのです。
もちろん、主体をはっきりさせたくないからともいえます。誰がどうした、というのより、このようになっている、というような責任の所在のわからない言い回しが多いのです。
というのも、主人公はいらないのです。襲名なども個人名ではないし、ファーストネームよりファミリーネームを使う、匿名が多い、絵巻物も、文楽の黒子もそういう嗜好を表しています。