紅白はもはや歌合戦でなく、ステージ合戦となりました。AKB48ほかのグループ化、集団化とともに、ソロ歌手の“芸風”もまったく劇場型になってしまったことが、もっともクリアになったのが今回です。歌の、そして声のもつ音楽性がさらに抜けてしまったと思います。よくも悪くも長渕型、美輪型になってしまっているのです。石川さゆりさんまでも。
とはいえ、歌における音楽的な声の動きの基準自体を日本人がなくしていったのでしょうか。
いつもながら、わかりやすい例で外国人をとりあげて恐縮ですが、今回はイディナ・メンデルです。その違いを実力差とは考えなくなってきたのでしょうか。
共鳴のなかの芯が声であり、流れのなかの一本の細く強い線がフレーズです。
クラシックについて述べるのは本意ではありませんが、昨年に続き、若返ったようでも、圧倒的に呼吸が足らない。アスリートとしてのトレーニングが必要と思いました。