fukugen(福言):出会い気づき変わるためのヒント

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「子供の声」

「子供の声がうるさいから近所に公園をつくるな」、続いて「保育所もうるさくて迷惑だ」ということが問題となっていました。ただでさえ子供は、ボール遊びさえ禁止された公園で遊ばないで閉じこもっているのに。少子化、過保護、プライバシー重視、騒音、コミュニティ崩壊と、そして子供の声が消え、子供が消えた街になっていくのです。

 役所へ電話するのは、私たちの世代から上なのでしょうか。仕事や家事の疲れ、介護などで静かに休む必要も増え、負担も大きくなったのだとも思います。一方で、昔のように長屋やバラック小屋のような生活なら、音や声に、これほど神経質ではありませんでした。つまり、抵抗力がなくなってきたのでしょう。「コラー」と怒る昔のカミナリ親父もいなくなりました。

 顔の見えない他人の子供だから腹が立つのでしょう。すべてがすべてとは言いませんが、かなりは声を掛け合う仲になると、つまり、コミュニケーションで解決することとも思えます。子供は天からの授かりもの、未来の宝物、世間(地域)で育てるなどの美徳は消えました。「病いのおじいさんが寝ているから」というのがずっと続くのなら、子供に話してわかってもらうような努力も甲斐がないのでしょうか。

 となると、一体どこで今の子供は大声を出せばよいのでしょう。泣くのは赤ん坊、騒ぐのは子供の性分、というより、育つための滋養なのです。

 子供の声のないところには未来もないのです。元気な声は元気を与えてくれます。うるさいのも刺激です。うるさい時は「うるさい!」と返しましょう。とはいえ、そんな声も出せなくなってしまったのです。大人も声を失ったのです。

 そのうちスピーカーで、鳥や虫の声のように、子供の声が流れる日もくるかもしれませんね。