自分で立ち上げた組織を使うのと、他の組織を使うのは、同じではない。日本での政権交代というのは、どうもアメリカよりも、南アフリカで白人から黒人に政権を変えたマンデラ氏に学ぶところが大きいと思う。映画「インビクタス」でわかるように、マンデラはラグビーでさえ、黒人の全国民が敵視した白人チームを利用した。
鳩山総理がリーダーとして理想をぶちあげたのはよいことだった。ただ、そこで何を優先するかを忘れているとは思わなかった。政治とは、利害調整であるから、一言でいうと、対立していることに優先順をつけることである。官僚に違う視点を与え、これまで国民の方から利害を調整させ、そこでどうにもならないものだけ、最終決断をするのが責任者である。
なのになぜ、誰も調整をしない中で、ポンポンと本来の調整役のすべきレベルの発言をするのかということである。しかも、できないことをできるといって期限まで切って、できないのにそのまま居直る。結局、組織である官僚を使えなければ、官僚が自ら尻ぬぐいをするのだから、元に戻るのはあたりまえだ。
最後には官僚のアドバイスで、つまり、事なかれの口調の帳尻あわせになり、何の改革も伴わない集中砲火をあびる。政治主導はよいが、動くのは総理でなく、組織であり、国民である。異なる意見を将来を見据えて、一つの方向にするのをリーダーという。