死んでしまったら
この手であなたに触れられなくなる
それだけが心残り それだけが無念
他には何もない
さしてよい人生だったわけじゃない
神はフェアだね と思う
私はあぶく
死んだ悲しみ尽きる間もなく
誰かが淡々と一服しながら
話しながら ときに笑いながら
そこらに埋めるだろう
私はすぐに忘れられ また何事も変わらず
一瞬のためらいもなく 世の中は回っていくだろう
「そんなに早く逝かないで」という
人の想いは 私を笑わせ 泣かし 悩ます
「なんてさみしい人生だろう」という
人の嘆きは 私を悲しませ 情けなく微笑ます
「もう充分生きたから」という 人のあきらめこそが
私を祝福し 暗い闇をつんざく